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イチローマニアを生粋の2番打者に!
上林誠知に工藤監督、王会長が期待。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/03/28 11:00
昨季レギュラーをつかみ、134試合の出場で打率.260、本塁打13、打点51を記録。6番、7番、8番での出場が主だった。
工藤監督が選んだのは本多ではなく……。
ただ、今宮が2番に定着していたのかと調べてみると、案外そうでもなかった。たしかに昨季は117試合に先発2番で出場していたが、'12年のレギュラー定着以来、シーズン100試合以上で2番打者として先発したのは昨季と'14年(132試合)の2度しかなかった。一昨年はチーム最多ではあったが56試合。次いで多いのが本多雄一の42試合だった。
経験でいえば本多は十分豊富だ。しかも、今年のオープン戦では好調ぶりを猛アピールした。全16試合に出場して打率.368、3本塁打をマークした。前回の当連載コラムで「逆方向への本塁打は初めて見た」と書いたが、掲載当日にもまたレフトへ一発(13日、ジャイアンツ戦=別大興産スタジアム)を放ってみせた。
だが、工藤監督が選んだ2番打者は、別の選手だった。
開幕を見据えながら戦ったオープン戦のラスト4試合すべてにおいて2番打者で先発したのは、なんと上林誠知だった。
過去に一軍で2試合だけ2番で先発しているが、これは意外な起用だった。
長打力も魅力的な「イチローマニア」。
小技のイメージはあまりない。本人も認める「イチローマニア」で、安打製造機としての豊かな素質を十分に感じさせるバットマンだ。また、昨季は自身初めて規定打席をクリアしたうえで、13本塁打もマークした長打力にも魅力がある選手だ。
まだバリバリのレギュラーではないが、今季も右翼手の一番手という見方は強かった。
しかし、アピールをしなければならないオープン戦では低空飛行が続いた。2番に座る前まではずっと打率2割台前半。打順が奏功したかはともかく、最終的には打率.261まで上昇。だが、本塁打と打点は0のまま終わった。
23日のカープ戦(ヤフオクドーム)では5回と7回の無死一塁の打席で、いずれも送りバントを決めている。昨年のイーグルスのペゲーロのように「2番強打者説」もあるが、工藤監督は「生粋の2番打者」として育成しようとしているのだろうか。
「2番というポジションを理解してもらうために、作戦も使ってどのようなプレーをするのか試したかった。2番には2番の目的や仕事がありますから」