匿名を条件にNBAスカウトが語った。

　それでは、実際にNBAチームは現時点での八村をどう見ているのだろうか？　ゴンザガ大対フロリダステイト大をはじめ、ロサンゼルスのステープルズセンターで行われたNCAAトーナメントのウェストリージョンを現地でスカウトしていた某NBAチームのベテラン・スカウトが、匿名を条件に語ってくれた（※NBAは、各チームの関係者がNBAドラフト資格をもたない下級生選手についてコメントすることを禁じている）。

　このスカウト氏がステープルズセンターで見たのは4チーム。NBA候補として注目している選手は「それほど多くなかった」というが、八村は、テキサスA＆M大のロバート・ウィリアムズやミシガン大のモーリツ・ヴァグナーらと共に、4チームのなかではトップ5に入る有望選手としてみているという。

「彼は（2回戦の）オハイオステイト戦ではとてもいい活躍をしていたが、フロリダステイト戦は合格ラインの試合（“OK game”）だった。相手のフロリダステイト大は背丈やリーチがあって運動能力が高いけれど、プロ選手としての可能性が高くはない選手たちのチームだ。そこを相手に合格ラインで、大活躍だったわけではない。

　もし、彼がただ単にNBAでプレーしたいというだけなら、彼は（今年のドラフトでも）ドラフト指名されるだろう。まだ、有望選手の誰がドラフト入りし、誰が大学に残るのかがわからない時期なので、彼がどれぐらいの順位でドラフト指名されるかを推測するのは難しいけれどね」

「彼がNBAに来るのはまだ少し……」

　1人のスカウトの意見とはいえ、八村は、今年でも来年でも、ドラフトにエントリーすればどこかで指名されるだけの選手だと評価されたわけだ。それでは、今年アーリーエントリーするほうがいいのか、それとも来年まで待ったほうがいいのか、どちらだろうか。

「これは個人的な意見だけれど、私は、彼がNBAに来るのはまだ少し早いように思う。リーグ（NBA）側の立場からすると、彼にはあと1年大学に残ってほしいと思う。それによって、ドラフトの順位が変わるかどうかはわからないけれど、それでも、もう少し大学に残ってほしい。

　彼がバスケットボールを始めた年齢は遅かったと聞いているし、ニュアンス的なことがまだ身についていないように思う。そういったことは経験を重ねれば身についてくる。彼が避けたほうがいいのは、リーグに残れないことだ。早くNBAに来すぎて、目立たないまま終わってしまうこともある」

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