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ルーキー“第1号”を打った村上宗隆。
高津二軍監督「松井というより筒香」。 

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浜本卓也(日刊スポーツ)

浜本卓也(日刊スポーツ)Takuya Hamamoto

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posted2018/03/26 16:30

ルーキー“第1号”を打った村上宗隆。高津二軍監督「松井というより筒香」。<Number Web> photograph by Kyodo News

九州学院高からドラフト1位でヤクルト入団。188cm、97kgという恵まれた体格を生かした強打が期待されている。

背番号「55」に込められた期待感。

 プロ入り後、高校時代の捕手から三塁にコンバートすることが決まっていた。「全部が課題」と、入寮日から自分が置かれた現状を冷静に把握していた。クリアのためには何をすべきか――。

 当時17歳の青年は「練習をするだけ」という、シンプルな答えを導き出した。「ここ(寮の部屋)ではしっかり休むようにしたい」。だからこそ、部屋にはプロの世界で戦うために必要最低限のものだけをそろえた。マスコミ受けする入寮グッズは必要なかった。

 昨年はシニアディレクター(SD)として村上指名にかかわった小川淳司監督が「村上は高卒とは思えないほど冷静だし落ち着きがある。試合の日も、まったく慌てた感じもなくて堂々としていたよね」と目尻を下げるのも、うなずけた。

 背番号「55」には、日米通算507本塁打の松井秀喜氏のような、動じない心を持つ左のスラッガーになってほしいとの願いが込められている。その松井氏にプロ初本塁打を“献上”した高津臣吾ヤクルト二軍監督は「松井というよりも、どちらかといえば筒香かな」と、日本の4番を務めるDeNAの主砲に村上を重ねた。

高津二軍監督も絶賛する逆方向の力。

 現役時代の高津二軍監督は多くの強打者と対峙(たいじ)し、日米通算で313セーブを積み上げた。そんな球史に残る守護神も「センターから左の反対方向にも大きいのを打てる。すごくいいものを持っていると思います」と高い素質を認める。

 2月18日の二軍の対外試合初戦となった東京ガスとの練習試合では、いきなり「4番三塁」で起用した。「村上は使い続けます」と、一軍でも「4番三塁」を任せられる和製大砲へと焦らずに育てていく考えだ。

 球団もしっかりと才能を開花させるべく、今季は二軍に腰を据えさせ、三塁の実戦経験を積ませる方針でいる。村上はそんな球団の配慮に感謝しつつ、甘えるつもりはないようだ。「早く一軍で活躍できればと思います。1年目から活躍したい気持ちはあるので、頑張っていきます」と、数年後を見据える周囲の声をよそに、今季の一軍デビューを必死で目指す覚悟だ。

【次ページ】 清宮、安田、中村が注目されているが。

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