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大リーグ二極化と今季順位予想。
ペナントよりもドラフト上位指名権?
posted2018/03/24 08:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
大リーグ開幕が1週間後に迫った。
FA市場の遅滞もあって、今年はオフシーズンが短かったような気がしてならない。エリック・ホズマーやJ・D・マルティネスの行き先が2月下旬にようやく決まり、最後の大物ジェイク・アリエータも、3月12日、「割引価格」でフィリーズ入りが報道された。この趨勢をどう見るか。
要は、「再建」に徹する球団が増えたのだ。ざっくりいうと、高い選手を売り払い、中堅や老練には手を出さず、安くて有望な若い選手を獲得し、4~5年かけて強いチームを作ること。カブス(2016年のワールド・チャンピオン)やアストロズ(17年の王者)がこの方針で大成功を収めた(ともに「大底」は'11~'13年)こともあって、多くの球団がそれに倣っている。極端にいうなら、再建中の球団が欲しいのは地区王者の称号ではなく、ドラフト1位の指名権なのだ。
露骨な「再建中」の姿勢。
その結果、露骨に「再建中」の姿勢を示す球団が10を超えた。ナ・リーグでは、ブレーヴス、マーリンズ、レッズ、パイレーツ、パドレス。ア・リーグでは、レイズ、オリオールズ、ロイヤルズ、ホワイトソックス、タイガース、アスレティックスといったところだ。これら11球団は、すでにペナントレースから脱落している。なかでは唯一、着実に陣容の整いつつあるパドレスが大穴球団に化けるかもしれない。
他方、ペナント獲得をはっきりと射程圏内に収めている球団も同じほどある。
ナ・リーグでは、ナショナルズ、カブス、ブルワーズ、カーディナルス、ドジャース、ロッキーズ、ダイヤモンドバックス。ア・リーグでは、ヤンキース、レッドソックス、インディアンス、ツインズ、アストロズがこれに当てはまる。100勝チームも、2つか3つは出てきそうだ。なにもアメリカ社会の真似をして、二極化に走らなくてもよいのだが。