松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹、手探りの復帰戦を終えて。
「話にならない」発言、逆の意味。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/03/20 11:40
タイガー・ウッズと回った予選は、松山英樹にとって予定よりも騒がしかっただろうが、ラウンド終了後にはがっちりと握手した。
3日目には「欲」も出てきたが。
3日目はフェアウェイキープ率もパーオン率も向上し、数字の上では精度も安定性も徐々に向上していた。
だが、松山は「チャンスと言えるチャンスはほとんどなかった。6メートルぐらいが1番近いというだけでチャンスとは言えない」「もっとスコアを伸ばしたかった」と、3日目にして初めて彼らしい「欲」を見せた。
そして、芽が出て膨らみ始めた松山の「欲」は、最終日の好プレーへと繋がっていった。前半で2つ伸ばし、もっと伸ばしていけそうな勢いで後半へ折り返した矢先、12番(パー5)でフェアウェイからの第2打を大きく左へ曲げ、3メートル半のパーパットを外して痛恨のボギー。
せっかく溢れていた勢いは一気に萎み、15番でもボギー、16番では左OBを打ってダブルボギー。
ストイックな松山が、甘めの自己採点。
「12番のセカンドで完全に気持ちが折れてしまった」
落としても諦めず這い上がる不死鳥のようなプレーぶりが、本来の松山の持ち味。だがこの日は、まだ6ホールも残っていて挽回の余地はあるはずなのに、この時点で「気持ちが折れた」ところが、いつもの松山らしくなかった。
そうさせていたのは、技術レベルも、それに裏打ちされた自信も、まだ取り戻せていなかったからに違いない。
「しっかり予選通過できていることは評価していいのかな」
1カ月半ぶりとはいえ、いつもなら驚くほどストイックな松山が甘めの自己採点をしたことにも、いつもの松山らしからぬものを感じずにはいられなかった。
4日間を戦うことができたとはいえ、痛みに関する不安が「いきなりゼロになるわけじゃない」。