松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹、手探りの復帰戦を終えて。
「話にならない」発言、逆の意味。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/03/20 11:40
タイガー・ウッズと回った予選は、松山英樹にとって予定よりも騒がしかっただろうが、ラウンド終了後にはがっちりと握手した。
最後に出てきた、嬉しいフレーズ。
しかし、最後の最後に、うれしいフレーズを聞くことができた。
「上位で戦うという意味では今のショット力では話にならない。ケガする前に掴みかけたものを完全に忘れてしまったので、もう1回、どうアプローチしたらいいのか考えて、やっていけたらいいなと思う」
「話にならない」――。
好調なゴルフを続けていたとき、その合間で出た小さなミスや乱れを松山はしばしば「あんなの打ってるようじゃ話にならない」と言い放っていた。それは目標や理想を目指して突進していく際に松山が自分自身を叱咤激励し、鼓舞するフレーズ。
大きな不安を抱いて復帰戦に挑むファーストステップを終え、予選を通過するネクスト・ステップもクリアした今、気持ちに松山らしさが戻ってきてくれれば、そのメンタリティが彼のゴルフの回復の牽引力になってくれるのではないだろうか。
途中で気持ちを切らし、74を喫して49位に終わった最終日。「4日間できたのは、すごい収穫」と言いつつも、現状のままでは「話にならない」という力強いフレーズが最後に戻ってきてくれたこと。それが、松山ファンにとっては、うれしい収穫になるのだと信じたい。