【NSBC補講II】 BリーグNo.1経営者のビジネス論BACK NUMBER
Bリーグ千葉、急成長の秘訣とは?
スポーツ経営も“ギブ&テイク”で。
text by
島田慎二Shinji Shimada
photograph bySports Graphic Number
posted2018/03/19 17:00
参加者に対してスポーツ経営のノウハウを説く島田氏。
スポーツにあぐらをかかず価値創出を。
ある市町村にA社が工場の建設を検討しているとしましょう。そこで行政は土地代を無料にするなど多少負担する。工場が建設されたことによって雇用が増え、仕事場があることで若い人たちが戻ってくれば市民は喜びますよね。行政にとっても税収が増えるというメリットもある。ここで双方に利益が生まれる関係が構築されます。
こうした“ギブ&テイク”の関係は、地域密着型を掲げるクラブにも通ずるところで、お互いに価値を見出すことでお互いに様々な効果をもたらします。お互いにメリットがなければ支援は成り立たないのです。
しかしながら、スポーツ界においてはまだまだ“ギブ&テイク”の関係が弱いのも事実。だからこそ、私はジェッツで7年間かけて徹底的に“ビジネス”というところを中心として考え実行してきました。
もちろん、スタッフにも「スポーツにあぐらをかくな」「価値を上げる努力をしろ」、「何かを求めるのであれば、自分たちもメリットを返さなければいけない」と常々説いてきました。
「私たちが支えます」くらいの気持ちで。
1つここで言っておきたいのは、決して地域密着型を否定しているというわけではないということです。ただ、先人の功績に頼ったり、企業チームの景気に左右されるのではなく、みんなで支えていくのがスポーツの形だということが言いたいのです。
しかし、今、日本が抱える高齢化社会の問題と同じで、支えるものが大きくなりすぎて、物理的な難しさもあるということです。今後、状況によっては、淘汰されてしまう競技、クラブも出てきてしまう可能性が皆無なわけではありません。
だからこそ、一方的に「支えてください」ではなく、むしろ「私たちが支えます」くらいの気持ちで、よりプロフェッショナルにその土地に価値を見出し、行政や企業、市民もクラブを支えることに価値を見出すという関係が作れればと思うのです。