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スノボ界の快挙に日本中が大興奮!
平野歩夢、USオープン優勝の背景。
text by
徳原海Kai Tokuhara
photograph byKai Tokuhara
posted2018/03/13 17:30
89.62の高得点で優勝した平野歩夢。2位の片山來夢(86.75/写真右端)、3位のスコッティ・ジェームズ(83.62)と表彰台で喜びを分かちあった。
“平野歩夢”のスタイルが確立したシーズン。
「ちょうど五輪が終わって気持ち的にリラックスしていたこともあって、ものすごく自分を追い込んで、というよりも今大会はスノーボードそのものを純粋に楽しめたと思っています。
決勝は天気があまり良くなくて、風も強かったから完璧なライディングとはいかなかったですけど、これまでで一番楽しめました。シーズンのいい締めくくりになったし、自分のやってきたことが1つのスタイルとして認められた感じもしています」
そう本人も実感するように、1月のXゲームズでの金メダル、2月の平昌五輪銀メダルに続く今回のUSオープン制覇は、まさしく“平野歩夢”というスノーボーダー像が確立された瞬間となった。
満員の観客は2連覇中だったショーン・ホワイトの不在を残念がるよりも平野のライディングに酔いしれ、大きな拍手を送った。
ついにスノーボードが日本で市民権を得た!
現地取材から帰国し、国内での反響の大きさにも驚いた。
五輪直後というプラス要素はあったにせよ、これまででは考えられないくらい「スノボUSオープンで平野歩夢が優勝」という見出しをネット上で見かけ、また今までスノーボードの話などしたことのない知人たちからも現地での観戦を羨む声が届いた。
「ついに競技としてのスノーボードが日本で市民権を得た。そして平野歩夢がそのアイコンになる!」
大げさではなく、そう確信した。ここが時代のターニングポイントになると。
事実、2位に入った片山來夢が「歩夢という存在が上にいることが大きな励みになっている」と語ったように、今や平野の存在が日本人ライダー全体のクオリティアップにも少なくない影響を与えるなど、スノーボードシーンに好循環を生み出してもいる。
残念ながら今シーズンのスノーボードの大会シーンは、このUSオープンをもってほぼ閉幕した。したがって次に平野歩夢のライディングが見られるのはもう少し先だ。
19歳のもの静かなリーダーは、しばしの休息を経て、来冬さらに進化したライディングで日本のスノーボードシーンを引っ張っていってくれるに違いない。