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スノボ界の快挙に日本中が大興奮!
平野歩夢、USオープン優勝の背景。
text by
徳原海Kai Tokuhara
photograph byKai Tokuhara
posted2018/03/13 17:30
89.62の高得点で優勝した平野歩夢。2位の片山來夢(86.75/写真右端)、3位のスコッティ・ジェームズ(83.62)と表彰台で喜びを分かちあった。
選手生命の危機を乗り越えて――。
平野自身も「USオープンは好きな大会。なるべく毎年出たい」と語り、実際2011年に12歳で初出場して以来、2012年に13歳で2位、2015年には3位と常に成長のステージにしてきた経緯がある。それでも今大会にかける思いは例年よりも強かったのではないか。
昨年のUSオープン、平野は大技キャブダブルコーク1440を繰り出した際、リップ(パイプの縁)に激しく体を打ちつけ、肝臓と左膝内側側副じん帯損傷の重傷を負った。
2カ月にもわたるリハビリ。平昌五輪の前後には多くのメディアが“大怪我からの復帰”に焦点を当てたが、その怪我というのは1年前、このUSオープンで負ったものだったのだ。
「去年あんな形でクラッシュをしてしまって、もちろんそのときの悪い流れやイメージは頭に残っていたし不安な部分もありました。だから今回は、まず怪我だけはしないようにと気をつけながら臨みました」
優勝が決まっても攻め続けた平野。
そして見事に打ち勝った。
予選をトップ通過し、迎えた決勝。1本目にバックサイドダブルコーク1260をミスし転倒するも、2本目はバックサイドインディ・フロントサイドダブルコーク1440・キャブダブルコーク1440・キャブダブルコーク1080・フロントサイドダブルコーク1260と繋げ、バックサイドダブルコーク1260を今度は鮮やかに決めてフィニッシュ。
ボトムに設置された大型モニターに「89.62」という得点が表示されると、超満員の会場が揺れた。
その後、3位につけていたスコッティ・ジェームズと、平野同様すばらしいルーティンを成功させ2位に躍進していた片山來夢の2人がともに3本目を失敗したところで、平野の初優勝が決まった。
冒頭でお伝えしたように3本目はウイニングランとなったわけだが、それでもなおポイントの上積みを狙って攻めのトリックに挑む。
転倒するも、平野歩夢のスノーボーダーとしてのブレない姿勢を見せつけられた感じがして印象深かった。