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Bリーグ琉球・佐々宜央HCの流儀。
33歳で指導者歴15年、異色の経歴。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2018/03/12 17:00
陸川章、小野秀二、アンタナス・シレイカ、トーマス・ウィスマン、長谷川健志、ルカ・パヴィチェヴィッチら錚々たるHCのもとで経験を積んだ。
「高め合うことが人間の本質なのかな」
33歳にして円熟味を感じさせる佐々の指導は、察知力によって支えられている。そんな力を身につけられたのは、生まれ育った背景にもある。
「僕は3人兄弟の末っ子なんです。厳しい家庭だったので、上の2人が叱られているのを見て“どうやったら叱られないんだろう”と考えてきたのもあるでしょうね。
あとは、転勤も多かった。日本からシカゴ、ニューヨークに引っ越し、また日本に帰ってきた。だから“どうやったら学校に馴染めるのか、環境に適応できるのか”と、察してきたからかもしれませんね」
アメリカでの生活、ACとしての経験が、人間的にも、指導者としての成長にも大きな恩恵をもたらした。それもあって、佐々は今こんな理想像を考えている。
「チームというファミリーのみんなが、ハッピーになれることですね。もちろん成功したい、優勝したいというのは大前提です。そのために充実したチームビルディングをしていきたいし、もっと言えば日本のバスケも発展してもらいたい。
結局、高め合うことが人間の本質なのかなと思うんです。それは、人としても、選手としても、コーチとしても、チームとしても。それが目指していけるのが、チームスポーツであるバスケだと思っているんですよ」
現実と向き合いながら、理想へ近づいていく。我々が琉球というチームに見ているのは、バスケの持つ魅力が解き明かされていくプロローグなのである。