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Bリーグ琉球・佐々宜央HCの流儀。
33歳で指導者歴15年、異色の経歴。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2018/03/12 17:00
陸川章、小野秀二、アンタナス・シレイカ、トーマス・ウィスマン、長谷川健志、ルカ・パヴィチェヴィッチら錚々たるHCのもとで経験を積んだ。
「内容については俺が反省する」
そこで33歳の新米HCが選んだのは、選手の守備に目をつぶっても、点を取りに行くことだった。いかにして相手を上回るかの策を授けて、85-81で逆転勝利を収めた。今季の琉球と比べると、平均得点が9.7点多いかわりに、平均失点は14.9点も多い、珍しいスコアでの勝利だった。
試合後、佐々はこう話していた。
「内容については俺が反省する。選手は頑張って勝っているんだから自信をつけてよ、と思います」
チームを強くするために、プロセスや理想を貫くのか。あるいは、結果を残して選手に自信をつけさせていくことで、理想とするチームに近づけるのか。
それは指導者にとって永遠のテーマだ。正解はなく、残った結果でしか評価されない。だからこそ佐々はこうも語っている。
「自分には選手経験もないし、若い。もちろん自信を持って、琉球に来ています。ただ、(西地区でダントツの首位を走る)今の勝利と敗戦の数が逆だったら、周囲から『なんで、あんなやつをHCにしたんだ?』と言われていたでしょうからね」
成長よりも、勝ちが求められていた。
琉球は今シーズン、12人中7人が新加入選手である。チームが刷新したなかで、選手たちが自信を持つためにも、周囲からの懐疑的な声を抑えるためにも、開幕直後は何よりも結果が求められていた。
「あのときはまだ始まって3試合目と4試合目。結果が必要だった。だから、何を求められているのかといったら、成長も必要なんだけど、それ以上に勝ちを求められているということだったんですよね」
そのプロセスは、実際に成果を挙げている。琉球はシーズンの3分の2を終え、西地区1位だけではなく、リーグ全体でも第21節時点でシーホース三河と並び勝率がトップタイの成績だったのだから。