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J2新潟にジュビロ黄金期の遺伝子が。
鈴木新監督と「カンペーちゃん」。

posted2018/03/10 17:00

 
J2新潟にジュビロ黄金期の遺伝子が。鈴木新監督と「カンペーちゃん」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

「N-BOX」を駆使して磐田黄金期を築き上げた鈴木政一監督。アルビレックス再建の重責を担っている。

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大中祐二

大中祐二Yuji Onaka

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 プロ18年目の富澤清太郎にとって、2018年シーズンはわくわくする思いとともに始まった。自分が大きな影響を受けたサッカーとの、予期せぬ遭遇の喜びに満ちていたからだ。

 昨年、千葉から新潟に完全移籍で加入した富澤は、技術に長け、試合の流れを読める頼れるセンターバックとして大いに奮闘。しかしチームはJ2に降格してしまう。

 1年でJ1に戻ることを目指す今シーズン、新たに鈴木政一監督がチームを率いる。チームメートから愛称の「カンペー」、「カンペーさん」で呼ばれて慕われるベテランセンターバックを、新監督も親しみを込めて「カンペーちゃん」と呼ぶ。

「カンペーちゃん、やっぱり恐いか?」

 1カ月半におよぶ長期キャンプの序盤、トレーニング中の一場面だった。合間の小休止に、給水している富澤に鈴木監督が話し掛けた。

「カンペーちゃん、やっぱり恐いか?」

 昨年の試合映像を見た鈴木監督は、守備の改善からチーム再建に取りかかった。選手たちに求めることはとてもシンプルで、ファーストディフェンスで相手の攻撃をしっかりと限定し、ボールサイドを数的同数にする。それから昨年、何度も痛い目に遭ったカウンターを受けないために、両サイドバックが同時に高い位置を取らない。基本的にはこれだけである。

 キャンプ中のワンシーンは、守備の不安からボランチがゴール前に落ちてきてしまう、チームの悪い癖を指してのものだった。

 数的同数であれば、下がってこようとするボランチを後ろから押し出し、ボールに行かせる。ゴール前では各自がボール状況、敵、味方の位置をよく見て判断する。ボールだけになっても、マーキングだけでもダメ。経験豊富な富澤に鈴木監督が意見を求めたのは、守備陣の当時の心理を知るためであり、再興を期すシーズンのチームづくりは、こんな風にして始まった。

【次ページ】 名波、服部、福西とヴェルディで同僚。

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