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イチローとマリナーズの再挑戦。
古巣でのリスタートを期待する。

posted2018/03/10 11:00

 
イチローとマリナーズの再挑戦。古巣でのリスタートを期待する。<Number Web> photograph by AFLO

マリナーズ復帰会見、チームは「WELCOME HOME」の文字でイチローを迎え入れた。

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 イチローの行き先がようやく決まった。古巣マリナーズが「メジャー契約」に手を挙げたのだ。現状では、ほぼベストの結論だと思う。レッズやパイレーツという線も考えられたが、球団の経営方針や出場機会という点から見ると、マリナーズのほうが望ましい。

 いまのところ、マリナーズで外野の定位置が確保されているのは、中堅手のディー・ゴードン(マーリンズ時代にイチローを慕っていたあの選手)ひとりだ。左翼手のベン・ギャメルは右腹斜筋を痛めて4週間から6週間の休養を余儀なくされているし、右翼手のミッチ・ヘニガーも調整遅れで、3月7日現在、まだオープン戦に出ていない。

 第4の外野手(左翼が多い)ギジェルモ・エレディアにしたところで、肩の手術から復帰したばかりでDHを務めるのが精一杯だ。外野の守備に就けるまでには、あと10日ほどかかるだろう。

ゴードン以外は全員打力が物足りない。

 加えて、安打製造機のゴードンを除く3人は、打力が物足りない。'17年の成績を見ても、ギャメルが140安打(2割7分5厘)、11本塁打、ヘニガーが104安打(2割8分2厘)、16本塁打、エレディアが96安打(2割4分9厘)、6本塁打。強いチームなら、レギュラー確保がむずかしい数字というべきだろう。

 となれば、マリナーズが「レジェンド」イチローに触手を伸ばすのは当然の成り行きではないか。イチローにしても、これを断る理由はない。

 なにしろ今年はFA選手受難の年だ。30代のFA外野手を見渡しても、マット・ホリデイ(38歳)、ジェイソン・ワース(38歳)、ホゼ・バティスタ(37歳)、アンドレ・イーシア(35歳)、カルロス・ゴンザレス(32歳)といった錚々たる顔ぶれが、いまなお宙に浮いたままだ。

 ただ彼らは、おしなべてパワーヒッターの印象が強い。つねに本塁打を量産してきたというわけではないが、少なくとも一定期間、派手に花火を打ち上げていたことは事実だ。しかし、パワーヒッターは加齢による衰えが著しい。筋力は確実に低下するし、反射神経も加齢の影響をまぬかれがたい。

【次ページ】 思い出すのはグリフィー復帰のケース。

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