ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
球団広報という白も黒もない仕事。
清宮の機知が背中を押してくれた。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byKyodo News
posted2018/03/09 11:00
清宮幸太郎のようなスター選手が入団すると球団広報の仕事は激増し、嬉しい悲鳴をあげることになる。
清宮に宮台、注目ルーキーに恵まれた。
プロ野球12球団は、1月に新人合同自主トレなるものを行う。今年であれば、2017年10月のドラフト会議で指名した選手が一堂に集うのだ。ファイターズには7選手が入団。選手への取材をリクエストする報道陣への取材対応、またファンを含む来場する方々と調和を図りながら練習環境の整備、整理が主な仕事になる。
幸運なことに、注目ルーキーに恵まれた。ドラフト会議で7球団が競合した上に射止めた1位は、清宮幸太郎選手(早稲田実業高校)。実力と話題性も兼備した7位宮台康平投手(東京大学)も、ファイターズの門をたたいてきた。
ありがたいことに、多数のメディアの方々に日参いただいた。比例するようにファンの方々も、例年以上のにぎわいだった。そんな中で「グレー」な職務を、遂行していったのである。鎌スタには年明けから1月には計16日間、滞在することになった。
かくして1月28日にアメリカへ向かった。行き先はアリゾナ州のスコッツデール。今年の一次キャンプ地は、最新鋭のアリゾナ・ダイヤモンドバックスのキャンプ施設である。
お世辞抜きに、キャンプ施設としては世界NO.1だと評価が高い。澄みに澄んだ青空、湿気を体感できない乾いた空気。栗山英樹監督が、今シーズンの戦力の「下ごしらえ」をするのを間近で見ながら、選手たちとひとつ屋根の下で時を過ごした。朝昼晩とクラブハウスで食事をともにし、ほぼ1日の大半を一緒に過ごした。
球団広報、意外に朝は早い。6時に宿泊先のホテルを出発し、仕事仲間と3人でレンタカーを約15分でキャンプ施設へ滑り込む。早朝取材を敢行する報道陣に、受付等の応対をするのが目的。
夕食を終えるまで施設の敷地内から足を踏み出すことはほぼなく、1日の半分以上をキャンプ施設で過ごした。大好きな不摂生をする余力もなく、夜が更けていくのが常である。
名護でも泡盛を一滴も口にせず。
あっという間の異国生活を終え、2月16日には沖縄へ。故障から打撃練習再開が秒読みとなった清宮選手を追うメディアも、熱気を増していった。
今年は改修工事中の名護市営球場が使用できず、ビジターで練習試合とオープン戦といった実戦調整の連続。名護市滞在は前職の記者時代を含めて15年目で、初めて泡盛を一滴も口にしなかった。
2月25日浦添でのヤクルトとのオープン戦を終えて那覇から東京入り。翌日には北海道へと上陸し、ついに本拠地へと到着したのである。