オリンピックPRESSBACK NUMBER
「眼鏡先輩」も人気の秘密は訛り?
韓国カーリングブームの実態を探る。
posted2018/03/08 11:00
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
Getty Images
平昌五輪閉幕後も韓国国内では「眼鏡先輩人気」が続いている。
大会の女子カーリングで銀メダルを獲得した韓国女子代表(チーム・キム/慶尚北道体育会カーリングクラブ)のスキップ、キム・ウンジョンの人気は留まることを知らない。
韓国選手団の閉会式では、司会者から「大会一番のインパクト」と絶賛された。所属チームにはCM、メディア出演のオファーが殺到。彼女の使用する眼鏡の売上が6倍に。百貨店、ウェア提供メーカーから報奨金の申し出、エトセトラ。
ADVERTISEMENT
彼女は韓国社会にとってどんな存在なのか。
1990年11月生まれの27歳、ふだんは慶尚北道体育会(協会)に勤務する。「眼鏡先輩」とは、日本のマンガで韓国でも大流行した『スラムダンク』の登場人物「メガネ君」が、韓国版でそう訳されている点が由来だ。
郷里の田舎町でずっと暮らす。両親は農業関連の仕事に従事してきた。義城女子高でカーリングを始め、大学は大邱大学体育学部に進学。一番近い大都市の大学に通いながら、今も所属するクラブチームでカーリングを続けた。
そして、今回の五輪で銀メダルを獲得した。2014年ソチ五輪で韓国史上初出場を果たした競技で、初のメダル獲得だった。とはいえ、今大会での韓国は他の競技でも計17のメダルを獲得し、'10年バンクーバー大会の14を上回る同国史上最高の成績を残したなか、なぜ彼女が一番人気なのか?
大統領の言葉から人気の理由を探る。
この「究極」を、ある意味で言い当てている文章がある。
文在寅大統領の言葉だ。
2月25日、平昌五輪の韓国カーリング女子代表に対し、感謝状を送った。韓国語で約300文字に渡るメッセージは、こんな一文から始まっている。
「田舎道を手を繋いで歩いていた友と共にオリンピックで銀メダルを獲得しました。一緒にやるから勇敢になり、お互いを大切にするから強くなりました。平昌オリンピック女子カーリングでの銀メダルは、国民の銀メダルです。みんなの“碑石を打つ遊び”が国家代表を生み出したのです。全員をお祝いします」