フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
サフチェンコ&マッソが悲願の金!
ドイツのペアとして66年ぶりの快挙。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2018/02/16 11:10
金メダルを獲得したアリオナ・サフチェンコ、ブルーノ・マッソのペア。その連係の美しさは特筆に値した。
マッソの移籍に補償金を払ったドイツ連盟。
ソチオリンピックシーズンを最後に、パートナーのゾルコーヴィが競技引退を決意。だがあきらめきれなかったサフチェンコが選んだ新たなパートナーは、フランス人のブルーノ・マッソだった。2人は2014年4月から、新ペアとしてトレーニングを開始した。
ところがマッソがドイツ代表になるために必要なリリースを、フランススケート連盟はなかなか出さなかった。
「いつになったら試合に出られるのか出られないのか、わからないままに練習を続けていくしかなかった」とマッソ。
2015年の夏、フランススケート連盟はドイツスケート連盟に、マッソのリリース費用として7万ユーロを請求したと報道された。
最終的に3万ユーロで合意がなされ2人にようやくゴーサインが出たのは、2015年秋のこと。その数カ月後に初出場した2016年欧州選手権で2位、そして2016年世界選手権では3位という好成績を上げた。
そして今シーズンは、名古屋GPファイナルでは強敵の中国、カナダを抑えてついに優勝してオリンピックへの勢いをつけていた。
「もう一度銅メダルで帰すわけにはいかない」
34歳のサフチェンコにとって、今回は5回目のオリンピックである。普通のスケーターにとっては、考えられない息の長い競技活動だ。
「自分を信じていなかったら、続けてこられなかった」とサフチェンコ。
「ブルーノに、私たちは明日歴史を作るのよ、と言いました。そしてすべて、描いていた通りの結果になった」と喜びを表現する。
一方、SPでは自分のミスで4位になってしまったマッソは、こう心境を語った。
「昨日はひどい気分だった。アリオナにもう一度銅メダルを持って帰らせるわけにはいかない。彼女には金が相応しいと思ったんです」