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小平奈緒「私、脈拍数が低いんです」
1000m銀と高橋尚子級の“鉄の心臓”。

posted2018/02/15 11:20

 
小平奈緒「私、脈拍数が低いんです」1000m銀と高橋尚子級の“鉄の心臓”。<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto/JMPA

猛威を振るうオランダ勢のテルモルスは確かに強かった。だが小平(右)も高木もハイパフォーマンスを出しきった。

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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Tsutomu Kishimoto/JMPA

 ゴールした直後は思わず天を仰いだ。けれども、「ベストの力を出し切れた。悔いはない」ときっぱり言った。

 2月14日、江陵オリンピックオーバルで行なわれたスピードスケート女子1000m。この種目の世界記録保持者である小平奈緒(相澤病院)は、1分13秒82で銀メダルに輝いた。

 3つ前の組で滑ったヨリン・テルモルス(オランダ)が五輪記録となる1分13秒56を出して金メダルを手にした。低地のリンクでは想定しにくかったほどの圧巻のタイム。小平は結果をすぐに受け止めて、こう言った。

「身体は動いていたし、練習の感触も良かったので、実力が足りなかっただけだと思う。(コーチの)結城先生からは『立派だったぞ、良いレースだったぞ』と言われました」

 五輪出場3度目にして個人種目で初めてつかんだ記念すべき勲章を、自ら称えた。

「私、脈拍数が低いんですよ」

 以前は500mに集中して精力を注いでいた小平が、平昌五輪で1000mでも頂点を狙うという姿勢を明確に打ち出したのは、オランダでの2年間の武者修行を終えて帰国した2016-2017シーズンからだ。

 '16年10月に長野のエムウェーブで行なわれた全日本距離別選手権。1000mで3年ぶりに自己ベストを更新した小平は、「以前は力ずくでやっていたが、今は体がしなやかに動いているという感覚がある。タイミングが良くなっているのかな」と話しつつ、ニコッとほほ笑みながらこう言った。

「私、脈拍数が低いんですよ」

 詳細について、小平が信州大に入学した1年のときから指導してきた結城匡啓コーチに聞くと、驚くような数字を口にした。

「小平は平常時の脈拍が1分間に35~36なんです」

【次ページ】 「ナオの心臓はブストと変わらない」

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