リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
降格危機デポルがセードルフを招聘。
本人は準備万端、ファンは不安視。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2018/02/16 08:00
セードルフの監督としての実績は正直心もとない。しかし、その理想が壮大なことも確かだ。
セードルフは3番めの候補者だった。
2つ目はセードルフがファーストチョイスではなかったことだ。
昨年12月9日から白星がなかったクリストバル・パラーロに見切りをつけたクラブが最初に後任に選んだのは、ウルグアイ人マルティン・ラサルテだった。彼ならデポルのOBで、実績も十分ある。
ところがラサルテの事情で断られたため、次善の策として同じくウルグアイ出身のディエゴ・アロンソにオファーを出した。現役時代バレンシアやアトレティコ、マラガでプレイした彼ならリーガをよく知っているし、メキシコのパチューカでタイトルを獲得してもいる。
アロンソは承諾した。が、スペイン用の監督ライセンス発行に時間がかかることがわかり、今度はデポルが諦めた。
そこでセードルフ――。
腑に落ちないサポーターがいてもおかしくなかろう。
カペッロやアンチェロッティのエッセンス。
とはいえ、決まってしまったのだから後は信じて応援するしかない。
では、セードルフはデポルでどんなサッカーを見せてくれるのだろうか。先述のパネンカ誌にヒントがあった。
アヤックスで育てられたセードルフは「トータルフットボール」を自身の基本的コンセプトとしているが、ボールポゼッションはあくまでゴールチャンスを作るための手段であり、縦にボールを動かすことこそが勝利のためには重要と考えている。
また「マネはしない」というが、現役時代ともに戦った監督全員からそれぞれのアイデアを学んだという。つまりファンハールにエリクソン、ヘインケス、カペッロ、クーペル、アンチェロッティ、ヒディンク、トシャック、リッピ、ライカールトといった名将たちが彼の師匠。
ならばセードルフの引き出しはさぞ深く、大きいのだろう。