Jをめぐる冒険BACK NUMBER
川崎相手だと、上海上港でも守る。
公式戦2連敗は「心配する必要ない」。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byYusuke Nishizono
posted2018/02/14 17:00
悲願の初タイトルを手にしても、フロンターレは変わらない。帰ってきた大久保嘉人も、すぐにフィットするはずだ。
憲剛と大久保のズレも、時間が解決する。
そのちょっとした問題のひとつが、ビルドアップのメカニズムだ。
大島僚太とエドゥアルド・ネットの2ボランチに対し、上海はオスカルとオディル・アフメドフがマークに付いた。そのため、トップ下の中村がヘルプに中盤の底まで下がり、3対2の数的優位を築いた。
「そうすれば絶対に取られないから、今度は空いたトップ下に誰かが入って、それで空いたスペースにまた誰かが入って、というのを繰り返せば、いくらでも崩せると思うんだけど……」
中盤の底に落ちた中村にかわってトップ下に入るのは、左サイドハーフの大久保が適任だろう。実際、沖縄キャンプで大久保は、味方選手をパスで繋ぐ役割を買って出ていたが、上海戦では異なる考えがあったようだ。
「前に人が少なすぎた。俺まで下がると後ろが重くなるから、あえて下がらなかった」
両サイドバックが常に高い位置を取れれば、前に人が少なすぎることもなく、大久保も攻撃の組み立てに加われたことだろう。だが、両サイドバックにも事情がある。なにせ対面はフッキとウー・レイという強力なウインガーなのだ。
特にこの試合の上海は、オスカルを起点に両サイドからカウンターを仕掛けようとする狙いが明白だった。サイドバックがウイング然として高い位置を取り続けるわけにはいかなかったのだ。
ただ、こうしたイメージのちょっとしたズレは、実戦を積むことで解決できるもの。71分に中村に代わって出場した阿部浩之も「そんなに心配する必要はない。去年のはじめと比べたらマシかなと思います」と、冷静に分析していた。
フッキを完封した登里の守備。
一方、唸らされたのは、フッキに対する完璧な対応だ。
左サイドバックの登里享平がフッキのドリブルのリズムを見計らい、ボールとの間にその小柄な体をいったい何度滑り込ませて奪い取ったことか。
その際、大島や大久保がプレスバックして挟み込んだり、コースを切ったりして登里の守備をサポートしていたことも見逃せない。
映像を見るなど、フッキ対策をチームとして準備していたことを、登里が明かす。
「昨年に引き続き、スカウティングのところをチームがしっかりとやってくれた。その情報のおかげで上手く守ることができました」