初代セーブ王、巨人V10阻止で沢村賞。

　1974年、NPBでセーブ制度が導入されると、星野は初代のセーブ王になる。以後、5年の成績。

＜1974年＞ 49登板17先発15勝9敗10セーブ　防御率2.87（セーブ数リーグ1位）
＜1975年＞ 40登板26先発17勝5敗4セーブ　防御率2.77（同6位タイ）
＜1976年＞ 20登板20先発10勝6敗0セーブ　防御率3.92
＜1977年＞ 42登板30先発18勝13敗5セーブ　防御率3.53（同7位タイ）
＜1978年＞ 34登板9先発5勝8敗14セーブ　防御率4.89（同2位）

　1974年、中日は巨人のV10を阻止して優勝するが、星野は主にクローザーとして優勝に貢献、沢村賞を獲得した。

　この年、中日には鈴木孝政という快速球を売り物にする若手が登場した。中日は「一番いい投手をリリーフに」という伝統に従って、救援投手で起用する。星野は救援登板が減り、先発が増える。

　1978年には、星野、鈴木がダブルストッパーで使われた。こういう形で中日は、リリーフエースを駆使してペナントレースを戦ってきた。

星野が先発1本なら200勝したのでは。

　星野仙一が純然たる先発投手になったのは1979年、32歳のときからだ。以後、引退までの数字である。

＜1979年＞ 28登板25先発10勝7敗0セーブ　防御率4.68
＜1980年＞ 29登板22先発6勝12敗1セーブ　防御率5.05
＜1981年＞ 23登板23先発10勝9敗0セーブ　防御率3.93
＜1982年＞ 18登板10先発3勝5敗0セーブ　防御率5.32

　こうしてみると、先発投手としてはリリーフほどの数字を残していない。

　通算成績は146勝121敗、防御率3.60。選手としての成績だけでは、殿堂入りは不可能な数字だ。

　ただ同時代の他のエース級が先発完投で20勝を挙げていた時代に、星野仙一は毎日のようにベンチに座り、臨戦態勢で試合を締めくくっていた。しかし、彼が同世代の投手のような使われ方をしていたら、200勝に到達したのではないか。

【次ページ】　背番号20は「中日の栄光の背番号」に。