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谷原秀人が欧州ツアーを回る理由。
ゴルフ界では珍しい短パンも慣れて。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/02/08 17:00
「紳士のスポーツ」ゴルフで短パン姿はかなりレア。しかしそんな谷原秀人は、とても39歳には見えない若々しさだった。
「ふざけんじゃねぇ、そんなに若くねえよ!」
差を突き詰めればキリがない。「でも、ちょっとずつ飛距離が伸びている気がする」という。
「去年やってきたものがちょっとずつ身になっているのかなって。(2打目が)4番アイアンだったのが5番になるだけでも大きい。『前より1クラブ短い。(グリーンで)止まるかも!』みたいに思える」
ツアールーキーだった昨季から、次第に顔見知りの選手も増えてきた。
「みんないいヤツだよ。でも、会った時に『ヘイ、ボーイズ!』だからね」
谷原は日本で後輩たちから慕われる、良き兄貴分といえる存在だった。それだけに、「ふざけんじゃねぇ、そんなに若くねえよ! 最近こっちに来たから、若いと思われてんだな」と、39歳は憤慨する。短パン姿で……。
谷原が常連になったことで、日の丸が掲げられるように。
ふとした瞬間、視線を上にやって言った。
「でも……来たコースに、日本の国旗があるとうれしい。どのトーナメントに行ってもあるのがうれしい。それに、どこの国でも現地の日本人の方が応援に来てくれる。ドバイでも、トルコにも。南アにもいた気がしたなあ」
欧州ツアーの会場には今、各国旗とともに日の丸が掲げられる。谷原が常連選手になったからこその変化だった。
2月初旬、マレーシアでのメイバンク選手権の試合前にこんな一幕があった。
テレビインタビューで「プロゴルファーとして成功できた秘訣を教えてほしい。技術的なものでも、精神的なものでもいい」と外国人に問われた。悩んだ挙句、英訳を買って出ようとしたマネージャーを制し、谷原はカメラに向かって言った。
「I believe.」
信じること。ディレクターは「5秒のレッスンになっちゃった」と苦笑いしていたが、それは今も谷原の拠り所といって差し支えない。
「この前、ヒメネスと回ったのがおもしろかった」
中東で同じ組でプレーしたスペイン出身のミゲル・アンヘル・ヒメネスは現在54歳。シニア入りしてからもレギュラーツアーで活躍する大ベテランで、2014年には自身が持っていた欧州ツアーの最年長優勝記録を更新(50歳133日)した。