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谷原秀人が欧州ツアーを回る理由。
ゴルフ界では珍しい短パンも慣れて。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2018/02/08 17:00

谷原秀人が欧州ツアーを回る理由。ゴルフ界では珍しい短パンも慣れて。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

「紳士のスポーツ」ゴルフで短パン姿はかなりレア。しかしそんな谷原秀人は、とても39歳には見えない若々しさだった。

欧米人との差、若い選手との差を痛感しながら……。

「アメリカ的なコースばかりで、池やバンカーが絡むところが多い。風も吹いてグリーンも硬い。でも、みんな飛ぶから関係なくて……。ローリー(マキロイ)なんかは、パー5のセカンドショットをグリーンに(スピンを効かせて)止めてくるもんね」

 欧米人との、若い選手との歴然としたパワーの差。同じフィールドに身を置かなければ、それを痛感させられることもなかった。気持ちが落ち込み、自暴自棄寸前になることもなかった。

「オレが5番アイアン、4番アイアンくらいで打つから『絶対止まらない……』というところを、アイツらは7番とかで打って止めてくるから、話になんないよ」

試合が終わった日曜の夜に飛んで、月曜から練習。

 ライバルたちに驚かされるのは、試合中だけではない。旅の途中、彼らのタフさを目撃してきた。

「日曜日に試合が終わって、みんなその日の夜に次の会場に飛ぶわけ。だいたい6時間くらいのフライトが多いから、飛行機の中で寝て、月曜日の午前中に現地に着く。その昼にはコースに練習に来てるんだ」

 日本では多くの試合で、最終日の夜には自宅にいられる。米ツアーでも長距離移動を強いられるが、各国を巡る旅にはその都度、パスポートを介した入国審査や換金作業も加わる。

 予定が急に変わると、宿泊ホテルや移動手段の手配だけでなく、選手によってはキャディやスタッフの「ビザは大丈夫か?」なんていう心配も出てきたりする。舞台裏の問題をクリアしてから、練習をこなし、ようやく毎週木曜日のティオフを迎えることができる。

 スター選手の実力を目の当たりにして苦悩し、連戦の疲れが癒される時間もない。それでも、谷原は今いる場所を悔いたりはしない。

「月曜日の朝に到着して、その昼には練習に来ている」選手たちを見て驚く、ということはつまり、彼自身の足も同じようにコースに向いているのだ。

【次ページ】 「ふざけんじゃねぇ、そんなに若くねえよ!」

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