スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
大谷翔平とエンジェルスの陣容。
エースの可能性大、打者でも……。
posted2017/12/23 07:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
本拠地とDHと先発ローテーション。
振り返ってみれば、納得のいく条件はそろっていた。結果論だが、大谷翔平は理に適ったチーム選びをしたといえる。
エンジェルスは西海岸の球団だ。アナハイムは温暖で(シアトルよりも天気がよい)、ドジャースの陰に隠れているため、市場規模はそう大きくない。日本人選手はこのところ在籍していなかった。ア・リーグの球団なのでDH制を採用している(パドレスでは外野で出ざるを得ない)。先発ローテーションはかなり弱体で、大谷はすぐにでもエースになれる可能性がある。まさに働きやすいチームだ。
このあたりを蒸し返しても仕方がないので、今後の展望を探ってみよう。
トラウトがいるのに8年間プレーオフで勝利なし。
エンジェルスと聞いて、だれもが期待するのは球界の黄金児マイク・トラウトとのパワー・デュオだ。
2012年に新人王を受けたトラウトは、過去7年間で2度のMVPに輝き('14年と'16年)、打点王と盗塁王も1度ずつ獲得している。7年間の通算安打数は1040本。201本塁打、165盗塁という数字も眼を惹く。いわば万能型のスーパースターだ。
エンジェルスは、この大器を擁しながら、過去8年間、プレーオフで1勝もしていない。それどころか、この3年間は連続でポストシーズン進出を逃している。トラウトとの契約はあと3年残っているが、それまでにどうにかしないと、文字どおり「宝の持ち腐れ」になる。その意味でも、大谷の加入は大きい。
トラウト、ジャスティン・アプトン、アルバート・プーホルス、アンドレルトン・シモンズ、コール・カルフーンと並んだ打線は悪くない。ここに大谷翔平とザック・コザートが加わる。もしかするともうひとり、ローガン・モリソンかジョナサン・ルクロイが入ってくる可能性もある。