フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ロシア女子が圧勝も日本勢も収穫アリ。
GPファイナルの結果から五輪を検証。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/12/19 08:00
表彰の後、名古屋に集まったフィギュアファンに応えてリンクを回ったメダリストたち。先頭からザギトワ、ソツコワ、オズモンド。
未熟な部分を補って余りあるザギトワの華やかさ。
もう1つの彼女の強みは、3+3のコンビネーションジャンプの2つ目に、一般的なトウループではなくループをつけられることだ。
そのため2アクセル+3トウループを跳んでも、もっともポイントの高い3ルッツと3フリップを2回ずつ入れるという構成ができるのだ。
加えて彼女の持つ天性の華やかさは、スケーティングやフリーレッグの位置など、まだ他のシニア女子ほど洗練されていない細かい部分をうまくカバーしている。
ジャンプを降りたときに、ジャッジにアピールするように片手を差し出すポーズなどは、実によく計算されつくした振付だ。
ソツコワの健闘は、予想以上だった!?
今シーズン、ずっと安定した演技を見せてきたマリア・ソツコワだが、2位入賞は予想以上の結果だった。
SP『白鳥の湖』のワルツ、フリーのドビュッシー『月の光』とも、元全米アイスダンスチャンピオン、ピーター・チェルニシェフの振付である。シングル選手にしては長身のソツコワの、ゆったりとした優雅な動きをうまく使ったプログラムに仕上がっている。
「経験を積んでいくうちに、自信と安定性が増してプログラムに感情を込めて滑ることができるようになってきました。順調に自分が成長してきたのを嬉しく思います」と会見で語っていたソツコワ。才気走ったタイプの若手ではないものの、じわじわと着実に成長してシニアらしい風格も身についてきた。
SP1位だったケイトリン・オズモンド(カナダ)がフリーで転倒して総合3位に落ち、ロシアが1位2位を独占したが、もしメドベデワが出場していたら――表彰台独占もあったかもしれない。