フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ロシア女子が圧勝も日本勢も収穫アリ。
GPファイナルの結果から五輪を検証。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/12/19 08:00
表彰の後、名古屋に集まったフィギュアファンに応えてリンクを回ったメダリストたち。先頭からザギトワ、ソツコワ、オズモンド。
平昌五輪ではロシアの女子が複数メダルの可能性。
国際オリンピック委員会はソチオリンピックの組織的ドーピング違反を理由に、平昌オリンピックへのロシアの選手団派遣を禁止。ロシアの選手たちはロシアの国旗のもとではなく、個人として出場することになる。
とはいえ、少なくとも女子フィギュアにおいては、ロシア女子が複数のメダルを取る可能性が高く、日本、北米、イタリアなど他のメダリスト候補たちは厳しい戦いを強いられることになるはずだ。
紀平梨花の世界初、3アクセルコンビネーション。
日本代表の3人は、表彰台こそ逃したものの、それぞれが次に向けて収穫を得た大会となった。
最初に特筆すべきは、ジュニア女子で15歳の紀平梨花がフリーで完璧な3アクセル+3トウループを降りたことである。女子が試合でこの構成をきめたのは史上初の快挙だった。
残念ながら予定していた2つ目の3アクセルがパンクしてしまい、総合4位で惜しいところでメダルを逃した。だが名古屋という多くの名選手を輩出してきたこの土地で、伊藤みどり、浅田真央らが記録を作ってきた3アクセルを継承していくのは、やはり日本女子であることを世界の舞台でアピールしてくれた。
復帰間もない宮原知子が、驚異の追い上げ!
もう1つ特筆したいのは、宮原知子が見せた戦いぶりである。
怪我からの復帰戦NHK杯で5位に終わった後、誰もが今シーズンの彼女のファイナル進出はないものと思ったのではないだろうか。
だが最終戦のスケートアメリカで優勝して第1補欠となり、エフゲニア・メドベデワの欠場によって繰り上がりで出場権を手にした。
1番滑走だったSPでは、堂々とノーミスの演技で74.61を獲得し、3位スタート。フリー『蝶々夫人』でも全てのジャンプを降り、メダル確実と思われた。だが前半の3つのジャンプで回転不足の判定を受けて、点が思ったほど伸びず5位に終わった。
「何となく足が緊張しているというのがわかってしまって、最初の(ジャンプ)3本くらいは緊張してダメだった。ステップで落ち着いて緊張を切り替えたので後半は良かったと思います」演技を振り返って、宮原はそうコメントしていた。