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CWCで本田圭佑を止めたコルテース。
新潟で育ちグレミオで打倒レアルを。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2017/12/16 11:30
浦和レッズ、本田、オークランド・シティの岩田卓也、そしてコルテース。今回のクラブW杯は何かと日本に縁深い。
新潟退団後、復活劇はドラマに満ちていた。
アルビレックス新潟では見せきれなかったその実力を、世界の檜舞台でアピールしたかつてのJリーガーだが、その復活劇はドラマに満ちていた。
ブラジル代表経験を持つサイドバックは昨年12月、新潟への期限付き移籍を終え、母国での再起を期した。しかしブラジル全国選手権1部に所属するクラブからのオファーはゼロ。コルテースは1部昇格に失敗した全国選手権2部のナウチコへの移籍が決まっていた。ところが、今年1月20日に受けた1本の電話がその運命を大きく変えることになる。
すでに新天地に向けて出発する荷造りも終えていたコルテースの携帯電話を鳴らしたのは、グレミオのレナト・ガウショ監督。左サイドバックのバックアッパーに頭を悩ませていた彼は、攻撃力を持つコルテースに白羽の矢を立てたのだ。
レギュラーが負傷を繰り返したこともあり、コルテースはチャンスを得た。5月以降はレギュラーとして徐々に存在感を見せ始めていく。
「新潟と日本には本当に恩を感じているよ」
移籍当初はサポーターやメディアからも懐疑の目で見られていたが、レナト・ガウショはグレミオで選手の再生にも優れた手腕を見せていた。
ペルーゾ記者は言う。
「レナトの手腕に尽きる。コルテースだけでなく、既に下り坂にいると見られていた選手を上手く起用し、それぞれに100%の力を出させる指導をしてきた」
2011年に名門ボタフォゴでブレークし、ブラジル代表にまで上り詰めたコルテースはダイナミックな攻撃参加を持ち味としていたが、同時に守備面でのルーズさが課題だった。
しかし、グレミオは伝統的にフィジカルコンタクトの強さや泥臭い守備を重視するクラブ。パチューカ戦で見せた絶妙の絞りや、不用意に裏のスペースを突かれないリスク管理は今季、コルテースが見せて来た新たなスタイルの1つである。
「グレミオでは守備面でかなり成長したね」と準決勝後の取材で水を向けると、元Jリーガーは意外な言葉を口にした。
「確かに僕はグレミオで守備面でも成長した。でもそれはJリーグでのプレー経験のお陰でもあるんだ。2年間、僕は凄く色んなことを学んだし、日本のサッカーに育ててもらった。なぜならJリーグはテンポが速いからね。そこで得た経験がグレミオで見せている守備に活きているのは間違いない。新潟と日本には本当に恩を感じているよ」