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佐野稔、羽生結弦らを育てた名伯楽。
フィギュア界伝説のコーチ・都築章一郎。
posted2017/12/12 07:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Asami Enomoto
男子フィギュア界で日本人初の世界選手権銅メダリストとなった佐野稔を幼い頃から指導し、一流選手へと育てた都築章一郎氏。指導者として長年リンクに立ち続ける名伯楽は、これまで多くの選手を世界に羽ばたかせてきた。
その中にはソチ五輪で日本男子初の金メダリストとなった羽生結弦もいる。
羽生は小学2年生から高校に上がるまで指導を受けており、都築は日本フィギュアスケートの土台を築いてきたと言っても過言ではない。
Number最新号の男子フィギュアスケート特集「銀盤の決闘」では、日本男子黎明期に都築が見た夢、そして羽生について語っている。
20歳ごろから選手兼コーチとして活動してきた都築。
指導歴50年以上になる名伯楽が、指導者を志したのは大学時代だった。
名古屋出身の都築は高校を卒業すると日本大学(日大)へ進学。当時の日大のスケート部にはフィギュア部門がなかった。
アイスホッケー、スピード、フィギュアの3部門で競われる日本学生氷上競技選手権大会で総合優勝を目指していた同校は、フィギュア部を新設すること、かつ強化することが急務とされていた。
「そこで私に声がかかったんです。20歳あたりから選手をやりながら同時にコーチも兼ねることになりました。指導に関しては、最初は真似事みたいなレベルからの出発でしたね。まったくの自己流で、見よう見まねでスケート界の情報を集めていました。選手として自分も大会に出場してさまざまな刺激を与えられ、スケートへの関心につながっていったと思います」
選手兼指導者として過ごす日々。そんな折、甲府で行われた日大の合宿で佐野稔と出会う。
佐野は、まだ小学2年生だった。