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「スピースの親友」から世界3位へ。
ジャスティン・トーマスの闘志と嫉妬。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2017/12/10 07:00
全米プロで初のメジャータイトルを手にしたジャスティン・トーマスは、松山英樹や石川遼よりも年下。若い才能は次々と登場している。
世界3位、しかしスピースはまだ上にいる。
最終戦のツアー選手権でも優勝に王手をかけたが、72ホール目のバーディーパットを決め切れず、惜敗して2位どまり。それでも年間王者の座を射止めて10ミリオンを手にしたが、「本当に勝ちたかった」と悔しさを露わにした。
この1年で目覚ましい成長を遂げたトーマスの、現在の世界ランキングは堂々3位。とはいえ、1つ上の2位に座しているのはスピースで、いまなおスピースがトーマスの上を行っている。だが、昨季の勢いと躍進ぶりは「トーマスのほうが素晴らしかった」と米ツアー選手たちの多くが認めている。
いつしかトーマスは「スピースの親友」とは呼ばれなくなり、スピースとトーマスが対等に肩を並べる時代になりつつある。そして、その状況は、実を言えば、彼らのジュニア時代の再現でもある。
父も祖父もクラブプロというゴルフ界のサラブレッド。
トーマスは父親も祖父もクラブプロというゴルフ一家に生まれ育ったゴルフのサラブレッド。しっかりしたゴルフ教育、人間教育を受けて育ったトーマスは、いつもジュニア界における手本のような存在だった。
初めて試合に出たのは8歳のとき。
「その試合はプレーオフで負けた。僕はまだ体が小さくて、優勝したチャンピオンが大きく見えた。自分も早くチャンピオンになりたいと闘志が湧いた。それがすべての始まりだった」
4年後の12歳で初めて優勝の味を噛み締めた。以後、ジュニアゴルフや大学ゴルフの世界で次々に勝利を挙げていったトーマスは、2015年に米ツアー本格参戦を開始したとき、合計125勝を挙げていた。
「でも、その何倍も敗北を味わった。そのたびに勝者を眺め、次こそは自分がチャンピオンになると心に誓った」