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「スピースの親友」から世界3位へ。
ジャスティン・トーマスの闘志と嫉妬。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2017/12/10 07:00
全米プロで初のメジャータイトルを手にしたジャスティン・トーマスは、松山英樹や石川遼よりも年下。若い才能は次々と登場している。
上の世代よりも、ライバルを意識し続けてきた。
トーマスに敗北を味わわせた勝者の中には、同い年のスピースもいた。もちろん、年上で大柄なジュニアゴルファーもいた。その背後、いやはるか彼方の頭上には、米ツアーのスター選手たち、究極はタイガー・ウッズの存在があったが、トーマスが意識したのは目の前のライバル。
そのときどき、自分より少しでも上を行く選手、先を走る選手を理想像として眺め、目標に掲げ、湧き上がる闘志をモチベーションに変えていく。それがトーマスの基本姿勢となり、その姿勢は今でも変わらない。
「ジョーダンには強いジェラシーを感じる」
トーマスより一足早く大学を離れてプロ転向し、2013年から米ツアーに挑み始めたスピースは、その年早々に初優勝を遂げ、翌年はマスターズで優勝争いを演じて惜敗。2015年はマスターズを初制覇し、さらには全米オープンでも優勝して瞬く間にメジャー2勝のスター選手に。プロデビューがスピースより遅かったトーマスは、そんなスピースを必死に追いかけてきた。
今年の全英オープンでスピースがウイニングパットを沈めたとき、ロイヤル・バークデールの18番グリーンの奥にたたずみ、スピース勝利の瞬間を凝視しているトーマスの姿があった。
「仲間の優勝は心底、祝福しながら眺める。でも、仲間の勝利を見ることは心底、悔しくもある。ジョーダンには強いジェラシーを感じるし、今でも嫉妬している。でも、それが僕のモチベーションになる」
トーマスが全米プロを制し、メジャー初優勝を遂げたのは、その翌月だった。