マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
16歳の大谷翔平に衝撃を受けた地。
「晩秋のセンバツ」で熊野が燃える!
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byMasahiko Abe
posted2017/12/03 07:00
雄大な風景の中でしのぎを削る「ベースボールフェスタ・熊野」。高校野球通であれば足を運びたい垂涎の大会だ。
バスで20時間近くかかって、いきなり弾丸ライナー。
バスの中で眠って、20時間近くかかって、ようやく着いて、20分ぐらいしか経っていないのに、最初っから弾丸ライナーで右中間を破っておいて、今、すずしい顔で三塁ベースに立っている。
私が「大谷翔平」という傑物を最初に実感した瞬間だった。
その“傑物”も、おそらく今年で日本のプロ野球を去ってしまうのだろう。
今はもう、すっかり“世界”の大谷翔平になってしまった彼が、まだ「ただの花巻東の大谷」だった頃の、おそらく誰も知らないワンシーン。
熊野に来ると必ず、ひとり思い出しては感慨にひたるワンシーンを、今年もまた思い出しては、記憶の引き出しに大切に収めておいた。
私は「晩秋のセンバツ高校野球」だと思っている。
思い出ばなしが長くなってしまった。
今年、2017年の参加校。それもまた豪勢なものだ。
北から羽黒高(山形)、健大高崎高(群馬)、霞ヶ浦高(茨城)、関東一高(東京)、横浜隼人高(神奈川)、大府高(愛知)、市立岐阜商(岐阜)、遊学館高(石川)、敦賀気比高(福井)、創志学園高(岡山)、それに地元の木本高、紀南高、尾鷲高、近大高専(三重)に近大新宮高(和歌山)。
遠来の甲子園出場校10校に、21世紀枠が地元5校。
私はこの大会こそ「晩秋のセンバツ高校野球」だと思い、注目している。