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W杯逃したイタリアの混迷は続く。
経済損失2兆円、権力争いにセクハラ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2017/12/02 09:00
辞任会見で不満をぶちまけたタヴェッキオ会長。イタリアの悲劇を招いた“戦犯”として、不名誉な形でその名を刻んだ。
来年度国内総生産は1兆9950億円の損失との試算。
だが、成績から振る舞いまで「史上最悪の代表監督」という汚名は彼のものだ。
W杯優勝4度を誇るアズーリが本大会出場を逃したショックと失望は、数値化できるものだけでも悲劇的だ。
ある調査ではロシア行きを逃したイタリアの来年度国内総生産は、150億ユーロ(約1兆9950億円)の大型経済損失を被るという試算が出ている。
決戦となったサン・シーロでのプレーオフ第2戦は、国営放送RAIで48.45%もの高い視聴率を叩き出した。来年の夏に約束されていたはずのドル箱コンテンツを失ったRAIの幹部が、苦々しい面持ちで連盟に毒づくのも無理からぬことだ。
「ミイラどもは出て行け!」(カンナバーロ)
多くの代表監督OBや現役選手は、静かだが強い怒りを抱えている。
代表歴81試合を持つ御意見番ベルゴミは「EURO2016でスペインに勝ち、ドイツと引き分けた代表チームの方が戦力面では劣っていた。しかし、彼らに決して走り負けする者はいなかったし、何より代表監督コンテがつねに『全ての責任は俺1人でかぶる』と戦う覚悟を見せてきた」とコンディション調整に疑問を呈しながら、最前線で尻をまくり、敗戦後も卑怯な態度をとった指揮官へ厳しい評価を下した。
'06年ドイツW杯優勝時の主将ファビオ・カンナバーロ(広州恒大監督)が「新しい時代が必要だ」と述べれば、名DFである弟パオロ(サッスオーロ)も「今のカルチョ界を牛耳ってるミイラどもは出て行け!」と糾弾する。