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優勝お預けでも、鹿島の軸はブレず。
昌子「俺が決めてやる、じゃなくて」
posted2017/11/27 17:00
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Kiichi Matsumoto
内容は決して悪くなかった。柏レイソルのビルドアップに対して鹿島アントラーズは高い位置から積極的にプレッシャーをかけて、クリスティアーノやディエゴ・オリヴェイラに良い形でボールを渡さない。特に後半は攻守の切り替えの早さで柏を圧倒し、計23本ものシュートを放った。
でも、0-0の結果はやっぱり悔しい。
いやいや、11月29日の浦和レッズvs.川崎フロンターレ戦で川崎Fが引き分け以下ならば優勝が決まる。もし川崎Fが勝ったとしても、まだ首位。最終節でジュビロ磐田に勝てば、文句なしで優勝できる。
でも、やっぱり満員のホームで決めたかった。
東城穣主審がタイムアップの笛を鳴らした直後、3万6080人の観衆で埋まったカシマスタジアムは、鹿島アントラーズの選手とサポーターの複雑な心境を表すように、しんと静まり返った。いつもなら選手は場内を1周してロッカールームに引き上げるが、この日はホーム最終戦。試合後すぐにセレモニーが予定されていた。
最初に挨拶をすることになっている選手会長・昌子源は、セレモニー開始までのわずか数分の間で、懸命に考えていた。優勝に足踏みした状況で、目の前のサポーターと、背後に並ぶチームメイトに、どんな言葉で自分の思いを伝えるべきか。
模範的な挨拶の後に続けた、刺激的な発言。
場内アナウンスで名前が呼ばれ、スタンドマイクの前に立ったディフェンスリーダーは、まっすぐに前を向いて語り始めた。まずは、1年間チームを支え続けてくれたファン・サポーターと、スポンサーへの感謝。続いて、アウェーでの最終節・ジュビロ磐田戦で「必ず勝ちます」という決意。
ここまでは“模範的”な挨拶だった。スタンドから大きな拍手を受けると、表情が一層引き締まった。意を決したような顔で、言葉を続ける。
「俺が守ってやる、俺が決めてやるじゃなくて、このチームが勝てばいい。このファミリーが勝てばいい。この気持ちでジュビロ戦、必ず勝ちます。こうして口で言うのは簡単です。ピッチの上でその姿勢を見せたいと思います」