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2度目のブンデス、2部レンタル……。
宇佐美貴史が今、考えていること。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byBongarts/Getty Images
posted2017/11/21 11:00
10月30日、ボーフム戦での宇佐美。攻守ともに奔走していた彼だが、まだまだ本領発揮とはいかないようだ。
シェスター解任。残留争いでさらに守備重視の戦術に。
得点力不足に喘いだチームは下位に低迷。その年の12月、成績不振により今度はシュスターが監督解任となった。
新たにバウムが指揮を執ることになったが、残留を目指す守備重視の戦術に変わりはなかった。
吹き続ける逆風。
年明けには先発の機会も数回あったが、アウクスブルクのサッカーの中で、終ぞ宇佐美が居場所を確保することはできなかった。
春、4月のヘルタ・ベルリン戦、1.FCケルン戦、アイントラハト・フランクフルト戦に出場したのを最後に、試合はおろか、ベンチからも遠ざかった。
秋になって……宇佐美はデュッセルドルフにいた。
月日は巡る。
カラリと晴れ渡る欧州の夏も過ぎ去り、街路の木々も枯れ始め、空は灰色の雲で厚く覆われていく。秋の冷たい雨が、路面をしっとりと濡らした。
舞台はかわり、ブンデスリーガ2部。
初夏のプレシーズンを通してアウクスブルクでバウム監督の構想に入ることができなかった宇佐美は、ブンデスリーガ2部のフォルトナ・デュッセルドルフへのレンタル移籍を決断する。
すると直ぐに結果を出した。
デビュー戦となった9月10日のウニオン・ベルリン戦で、鮮烈なインパクトを残す。
相手のクリアが不十分だったボールを、右足ダイレクトで一閃。
移籍して初先発を飾った9月23日のFCザンクトパウリ戦でも、目の前に転々ところがってきたボールを、ダイレクトでゴールに突き刺した。その才の片鱗を見せ付けて、捲土重来を期す宇佐美。
しかし、その後が続かなかった。
10月に入ると、MSVデュイスブルク戦、アルミニア・ビーレフェルト戦と2試合連続で途中出場。SVダルムシュタット98戦では先発出場し、コーナーキックを蹴って先制点を演出したが、無得点で80分に交代。30日のボーフム戦では見せ場を作れず、61分と後半の早い段階でピッチを退いた。
試合後に宇佐美は「消化不良」と落胆の色を滲ませた。
得点感覚については「今のところ、研ぎ澄まされてはいるかなとは思います」と語っている。それはウニオン戦とパウリ戦で証明済みだ。コンディションが良くなっているという感覚もある。だが、フリートヘルム・フンケル監督からの信頼を掴み切れない。