野球善哉BACK NUMBER
大阪桐蔭最強世代の中心は変り種。
あらゆる意味でマルチな男・根尾昂。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2017/11/17 07:00
史上最強世代とも言われる大阪桐蔭の中心、根尾昂。最も野球的に見える場所に、野球的でない選手が登場したことも興味深い。
まだドラフト1位候補ではない。しかし伸びしろ十分。
西谷監督は言う。
「根尾は勉強にしても、野球にしても、何をするにしても、完ぺきにこなしたい性格なんです。勉強をやっているから野球がおろそかになるのは嫌だし、野球をやっているから勉強ができないと思われるのも嫌。バッティングも、守備も走塁も一切手を抜かない。しっかりとやりたいんですよ。だから、僕らとしてはパンクしないように見守ってやりながら、彼の気持ちを認めてやらないといけないと思っています」
実は、今の根尾にはまだ課題がある。
ドラフト1位候補と呼ぶには、守備の安定感、バッティングの確実性などは物足りないレベルといえるだろう。
しかし、彼は勉強がそうであるように、コツコツと積み重ねていくことができる性格だ。
文武両道を実践し、長所を伸ばし、短所を消していく姿勢は日ごろから心がけていることで、それは。これからも彼の強みとなっていくはずだ。
「疲れはなかったです。調子が悪いわけではありませんでした。でも、そういう風に『疲れはあったか?』と思わせるようなピッチングを見せてしまったのは僕の力不足です」
敗れた神宮大会の準決勝は6回からマウンドにあがったものの1失点を喫した。記者の見立てを読みとり、その先を行くような返答は見事としかいいようがない。
まだ最終年の1大会を終えたばかり。この敗戦をどう糧にしていくのか、静かに見守りたい。