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栃木ブレックス、指揮官交代の岐路。
秘密の映像でチームワークよ再び。
posted2017/11/11 09:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Yuki Suenaga
見えそうで、はっきりとは見えないものを、栃木ブレックスは目に見える形で提示してきた。彼らが強くなった秘密はそれだった。
これはバスケットボールの世界に限らない。簡単には見えないものを具体的な形で表現しつつ、課題に取り組める組織は一体どれくらいあるだろうか?
確実なのは、目には見えないものを可視化して取り組めれば、その組織は成長していけるということ。
栃木は今、そんな興味深い取り組みを見せている。
Bリーグ初代王者である栃木は、10月25日にサンロッカーズ渋谷に敗戦し、5連敗となった。
すると長谷川健志ヘッドコーチ(HC)が「体調不良」との理由で、3日後のレバンガ北海道とのアウェーゲームからアシスタントコーチの安齋竜三がHC代行を務めることになった。翌週の千葉ジェッツふなばし戦でも、この状況が続いた。そして10日、長谷川HCの退任と安齋のHC就任が発表された。
試合前に見せた“あるシーン”の特別映像。
ジェッツとの試合を終えた後、当時HC代行だった安齋はこう話していた。
「僕がコーチをやる上で取り組むのは、まずはチームを1つにして、同じ方向を向かせること。自分たちがダメになったときに誰かが下を向いたり、ミスをしたあとに悔やんだりしていると、それは伝染してしまいます。そういう時こそ、チームで助け合ったり、気持ちを切り替えて、次のディフェンスに入れるかが大事なのです」
ジェッツとの試合前、安齋はこれまでの試合の“あるシーン”を特別に編集した映像を用意した。
それは戦術的なものでなければ、相手のプレーを記録したものでもない。
1人の選手がミスをしたとき、コートに立つ他の選手やベンチに座る選手たちがどういうリアクションをしていたのか。逆に良いプレーを見せたとき、他の選手がどれくらい喜んだり、チームを盛り上げようとしていたのか。それらをまとめた映像だった。