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栃木ブレックス、指揮官交代の岐路。
秘密の映像でチームワークよ再び。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYuki Suenaga
posted2017/11/11 09:00
田臥らが培ってきた栃木スピリットは、チームに浸透しているはず。ならばそれを思い出すだけだ。
竹内、田臥がそれぞれ口にしたチームの哲学。
逆転負けを喫した1試合目に続き、2試合目も第3クォーターに追いつかれ、逆転された。それでも再び試合をひっくり返すと、勝負を分ける第4クォーターで27点をたたき出してリードを広げた。
得点力のないチームが、1つのクォーターに27点を記録できたのはなぜか。それはディフェンスで踏ん張って相手の得点を阻止して、リバウンドを取ることで相手の攻撃機会を食い止め、自分たちの攻撃機会を増やしたからだった。
竹内は言う。
「自分たちはディフェンスとリバウンドのチームなんだと話し合って、ディフェンスについては1週間しっかりやってきました」
守備が上手くいったからこそ得点が伸びた、と田臥勇太も認めている。
「僕らはオフェンスでアジャストするんじゃなくて、ディフェンスでアジャストできるようなチームになりたい。それこそ“ディフェンスから攻められる”というくらいのチームにしていきたいと思いますので」
新加入選手が見せた“ブレックスらしい”振る舞い。
特筆すべきは、第3クォーター残り4分弱、生原秀将がファウルをとられた場面だ。この試合はジャッジの基準が曖昧だったのだが、この場面でも生原が“ファウルを受けた”と判定されてもおかしくはなかった。しかし判定は生原が“ファウルを犯した”というものだった。
すると、今季から栃木に加入した鵤誠司(いかるが・せいじ)が激しく両手を叩き、生原を鼓舞するアクションを見せた。鵤はそのプレー自体は覚えていないと言うが、こうも話している。
「1人ではなく、チームで戦っているので。良いプレーをしたら褒めることもそうですし、悪い流れのときはしっかりと声を掛け合うことが、ブレックスらしさだと思います。そういうことが出来ないと、勝てるチームにはならない」
昨シーズンまで他チームに所属していた鵤が、そのような振る舞いを見せた。それがチームの変化を物語っていた。