欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
宇佐美貴史、ブンデス2部で大人に。
「昔なら“はあ?”やったけど……」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2017/11/04 08:00
クラブ経歴だけだと、宇佐美への評価はしぼんでいるかのように見える。それでも今季は覚醒の気配を漂わせているのだ。
7戦2ゴールも、まだコンディションは万全ではない。
ブンデス2部は10月31日時点で第12節が終了し、宇佐美は7試合に出場した。そのうち先発は3試合で、2ゴールと悪くない結果を残している。とはいえスタメン定着には至っていない。
フォルトゥナは現在首位を走っており、チームが好調の中で先発に割って入るのは容易ではないのと同時に、宇佐美のコンディションが万全ではないことも影響している。
昨季所属したアウクスブルクでの公式戦出場は11試合だった。そのうちフル出場は1試合のみ、先発で途中交代は4試合、途中出場は6試合だった。途中出場のうち1試合は90分からの出場で、現実的には戦力と言い難い状況だった。
それでもクラブ幹部、監督とシーズン終了直後に話し合いの機会を持ち、「来季(2017-18シーズン)は10番的なポジションでと言われた」。それは来季もアウクスブルクに残ってくれという意味だったのか、と尋ねたが「わからない」と宇佐美は返してきた。
先発定着には時間がかかると言われていた。
プレシーズンに入っても状況は芳しくなかった。プレシーズンマッチ計8試合で途中出場は4回、出場なし3回、先発したのはFC東京戦のみで、それもハーフタイムで交代している。その頃から「アウクスブルクに残るのがベスト」としながらも、移籍の可能性は否定しなかった。結局、デュッセルドルフが攻撃的MFを必要としたこともあり移籍が決まった。
とはいえ、1年間ほとんど試合に出られていない。だからコンディションは当然上がってはおらず、2部に移籍したからといって突然活躍できるとはいかないのだ。
「最初は様子を見ようという感じで(先発定着に)時間がかかると言われていたし。フォルトナに来た時にあんまりコンディションよくなかったんですよ。なので練習の状態とか見ながら“どこが足りていないか”っていう話をして進めたんです。チームも状態が良いんで。無理にメンバーを変える必要がないから、という感じですかね」
こう語っているが、初出場のウニオン・ベルリン戦で1ゴールを挙げるなど、予想以上に早くチャンスをものにしてもいる。