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大仁田厚、43年間のプロレスラー終焉。
引退後もリングでレフェリー・デビュー。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/11/02 17:00
最後の最後までその“邪道”なスタイルを貫き続けている大仁田。さらなる復活劇は……あるのか?
「まだ馬場さんがいて、付き人のオレが一緒に……」
これまで、大仁田ファンにとっては、まき散らされた水を浴びながら試合場で大仁田に会えることは至福の時だっただろう。
たとえ「階段を見るとエレベーターを探してしまう」くらいボロボロのヒザになった大仁田であっても、だ。
「あいつらと別れるのが寂しい。でも、どこかで生きていたら、また、会えるかな。みなさんに多くのものをいただきました。そして、いろいろなことを感じさせてもらいました。月並みな言葉かもしれないけれど、プロレスで胸いっぱいになれたオレは幸せ者だと思います。たぶん、もう、戻り道はないと思います」
大仁田は深く息をすると続けた。
「(後楽園ホールのこの場所にいると)まだ馬場さんがそこにいて、付き人のオレが一緒に階段を上がっていく姿を思い浮かべる。
オレは、プロレスで胸いっぱいになれて、43年間プロレスができたことで本当に幸せです。
オレはプロレスが、大好きなんです。
オレは、死ぬまでプロレスラーです。
また誤解されるかな、こういうことを言うと」
大仁田厚。この憎めない男に、また1つの区切りがついたことだけは確かだ。
次は12月3日に「大仁田反省会」なるイベントでレフェリーとしてデビューすると宣言した。レスラーがいうことを聞かなければ、大仁田はレフェリーとして有刺鉄線バットを振り回すつもりだろうか?