“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-17日本代表は久保だけじゃない!
W杯初戦で3得点、中村敬斗とは何者。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2017/10/10 17:00
ホンジュラスのマーカーを跳ね飛ばす強さも見せた中村。久保だけではない有望なアタッカーがまた1人登場した。
久保のCKからマークを外して先制ゴールをゲット。
自身に手応えを感じ、初めての世界の舞台を待ちきれない。その表情はまるで遠足を楽しみにしているような、目を輝かせているサッカー少年だった。
「でも、もっとポジティブに考えれば、あと1カ月あるとも言えます。もっともっと良くなると考えることもできますから」
そして1カ月後。彼はその言葉を現実のものにした。
右サイドハーフとして先発した中村は、立ち上がりから緊張で堅さの見える日本代表の中で、常にゴールを狙い続けた。
22分、CKのキッカーのFW久保建英の放った鋭いクロスに対し、相手の間隙を縫うようにゴール前に飛び込んでヘディングシュートを突き刺した。チームを緊張から解放する貴重な先制弾だった。
ホンジュラスDFを跳ね飛ばすフィジカルも。
勢いに乗った中村は30分に圧巻のプレーを見せる。
右サイドで久保が裏のスペースに浮き球のパスを送ると、中村は右足を上げてこのボールをアウトサイドでコントロール。そのまま反転してトップスピードでペナルティーエリア内に走り込む。そこで寄せてきたDFとボールの取り合いになったが、その相手に対して上半身を当てる。よろめくマーカーを尻目に一気に前に出て完全にフリーになった。
「相手とぶつかって自分が勝ったときに、クロスかシュートか考えた。GKが飛び出して来たので、あとはかわして決めるだけだった」と試合後のテレビインタビューで語っていたように、選択肢が2つある中で、彼は瞬時にGKの動きを見逃さずにドリブルシュートに切り替え、見事にそれを成功させた。
このゴールも「僕の中ではパスも大事だけど、パスより先にシュートを決めることを常に考えている」という普段の姿勢が前面に出たものだった。
その後ホンジュラスに1点を返されたものの、43分にはMF上月壮一郎からの正確なスルーパスを完全にフリーになって受け、飛び出して来たGKを冷静に見て左足シュート。前半のみでハットトリックを達成してみせた。