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U-17日本代表は久保だけじゃない!
W杯初戦で3得点、中村敬斗とは何者。
posted2017/10/10 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
U-17日本代表のW杯オープニングゴールを決めた勢いそのままに、圧巻のハットトリック。
中村敬斗は今回のU-17W杯に臨む“00ジャパン”ただ1人のJクラブユース以外の選手で、高2ながら「今年の目玉」として数多くのJクラブが注目するストライカーである。そんな彼がチーム随一と言われるシュートセンスを発揮し、ホンジュラス戦の6-1圧勝に大きく貢献した。
「今すぐ始まって欲しいです。コンディションがいいので」
ホンジュラス戦の約1カ月前、所属する三菱養和SCユースの試合後に中村はこう笑顔で語っていた。
実際、今年に入ってからの彼のプレーは目を見張るほどの成長を見せていた。もともとずば抜けたシュートセンスの持ち主だったが、それでもシュートまでのプロセスにまだ改善の余地があった。
しかし2年生ながらチーム内の絶対的エースに君臨することで、心境の変化が生まれた。
「何でもできないといけない。ボールを引き出すため、守備に戻るため、どんなにキツくても走り続ける。何度もスプリントをして、仕掛けるべきところでは積極的に仕掛ける。シュートまで持ち込むことを常に意識してプレーするようになった」と、ハードワークとゴールへの意欲をしっかり両立させ、攻守両面で絶大な存在感を放つようになった。
「最近、自分でもびっくりするくらい一皮むけた」
三菱養和ではFWだが、00ジャパンでは主にサイドハーフを任されている。攻守両面で長距離のスプリントを求められ、かつゴールとアシスト両方の役目も求められる。当初は役割の多さに戸惑ったと言うが、徐々に自身の変化に気づいていったようだ。
「FWとサイドハーフと、やるポジションが変わる。これは両方で自分が評価されているからだと思って、ポジティブに取り組みました。正直、去年はボールを持ったときに慌てるというか、少し判断が遅れてしまったり、持ちすぎていました。だけど今年に入って徐々に余裕が生まれてきた。
特に(今年8月の)チェコ遠征ではボールを持ったらどんどん縦に仕掛けていく姿勢が出せた。突破からニア上にシュートを決めたり、クロスからアシストしたりもできる。サイドハーフは本当に楽しいポジションだと心の底から思えたし、最近、自分でもびっくりするくらい一皮むけた印象があります」
こう語った後に、さらに語気を強めてこう続けた。
「だからこそ、早くW杯を迎えたいんです!」