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「自信がない」から「卓球、楽しい」。
平野美宇はいかに壁を超えたのか。 

text by

高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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posted2017/09/26 11:00

「自信がない」から「卓球、楽しい」。平野美宇はいかに壁を超えたのか。<Number Web> photograph by AFLO

平野美宇は中国からも警戒されるようになり、相手の研究を上回る必要が以前よりも増してきた。ここからは、地力の勝負なのだ。

「まだ17歳で若いんだし、もっと成長できる」

 アジアカップはリオ五輪からちょうど1年のタイミングで開かれた。

 平野は言う。

「リオの悔しさがなければ今の自分はないという思いでここまで来たのに、いつの間にかつらくなっていた。でも2カ月悩んで、アジアカップで負けて、なんだかすっきりした。最後の試合では、相手に向かっていく自分本来の卓球ができて、『卓球、楽しいな』と思えた。まだ17歳で若いんだし、もっと成長できると思う」

 話の途中で、また涙ぐむこともあった。今大会の平野は本当によく泣いた。まるで嵐のような3日間だった。ただ大会後は嵐の後の台風一過とまではいかないが、雲の晴れ間から覗くやわらかな日差しのように、平野の表情は穏やかになっていた。だが平野はその日のうちに、翌週開幕するワールドツアーに向けてオーストリアへ飛び立った。

 その平野に18日、朗報が届いた。国際卓球連盟からW杯出場資格の獲得通知が届いたのだ。連覇を目指すW杯女王に、涙はもう似合わない。

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