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離脱者さえも連覇の戦力にした広島。
選手層より大切な「カバーする力」。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byNanae Suzuki

posted2017/09/25 11:50

離脱者さえも連覇の戦力にした広島。選手層より大切な「カバーする力」。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

シーズン半ばからは独走体勢に入り、他を圧する形で優勝を決めた広島。それはまさに、総合力としか言いようがない優勝だった。

鈴木も赤松も、紛れもない連覇の戦力だった。

 誰かが抜けても、誰かが補った。たとえチームを離れても戦い、離れた者のためにも戦った。

 先発陣も開幕直後にクリス・ジョンソンが抜けても、2年目の岡田明丈、中継ぎだった薮田和樹が台頭するなど穴を埋めた。中継ぎ陣もそう。開幕直後には抑えの中崎翔太が離脱するも今村猛が代役を務め、中田廉や一岡竜司もカバーした。

 約1カ月の離脱がありながら、8月下旬から再び抑えとなり、2年連続胴上げ投手となった中崎は先輩投手の支えに感謝する。

「僕が勝手にケガをしていなくなった。それなのに戻ってきたらすぐにいいところで投げさせてもらった。それまでは(中田)廉さんや一岡さんが投げてくれていたのに、2人は何も言わず、僕の登板のときに背中を押してくれる声をかけてくれる。頑張らないといけないと、一層そう思った」

 誰かが抜けても、誰かが補った。たとえチームを離れても戦い、離れた者のためにも戦った。仲間が戻ってきたら歓迎し、力に変えた。

 9月18日、甲子園球場で緒方孝市監督が11度宙に舞う真っ赤な輪の中にいた、鈴木も赤松も、紛れもない連覇の戦力だった。

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