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Bリーグ連覇に挑む栃木ブレックス。
田臥勇太が話すシンプルな強さの源。
text by
後藤茂仁(Number編集部)Shigehito Goto
photograph byYuki Suenaga
posted2017/09/25 11:30
昨季に続きチームの中心となる田臥勇太とライアン・ロシター。コート内外での彼らの求心力がチームの結束の要だ。
MVP古川らが移籍、ギブスらも故障しているが。
一方で今季、連覇を狙う栃木のチーム状況は万全とはいえない。
チャンピオンシップMVPとなった古川孝敏をはじめ、先に述べた熊谷尚也、須田侑太郎らチームを支えたベンチプレイヤーが移籍し、田臥を支えた副将の渡邉裕規も引退。長谷川HCも就任したばかりで、チームの体制は大きく変わっている。
また故障者も多く、ジェフ・ギブスとアンドリュー・ネイミックのインサイド2人が現在インジュアリーリスト入り、遠藤祐亮、橋本晃佑の2人もケガから復帰したばかりという状況だ。
実際、9月頭に開催された関東アーリーカップでは、新規加入の鵤誠司や喜多川修平、セドリック・ボーズマンを試しながら、今季のチームとしてのかたちを模索しているようにも感じられた。
しかし、その後の広島ドラゴンフライズとのプレシーズンゲームや、マレーシアで行われたSeri Mutiara Chanpions Cup 2017などの試合を経て、開幕へ向けて、新しい栃木はチーム力を確実に増大させてきている。新戦力がチームと完全にフィットし、今季内の復帰を目指しているギブスも合流すれば、連覇の道がはっきりと見えてくるだろう。
「あれは誰にでも真似できるプレーだと思うんです」
最後に、今季も栃木の中心選手であり、当事者でもある田臥にとって、あのルーズボールはどういうものだったのか、尋ねるとこんな答えが返ってきた。
「あのプレー自体は当然のことと思っています。ルーズボールがとれていれば、もっと勝ちが確実なものになった。それだけです。(残り16秒で6点差という状況も)3Pをポンポンと決められていたら、わからなかったですから。ただ、今までもそうだったし、これからもそうですけど、ああいうプレーは本当に大事にしていきたい。球際だったり、ワンプレーだったりに懸ける思いがどれだけ大事かというのは、これまでの経験から感じているので」
そして、あれはあくまでも自分のためにやったプレー、とは言いつつこうも話す。
「あれは誰にでも真似できるプレーだと思うんです。技術じゃないですから。そういう意味では、チームメイトにもああいうプレーをしてもらいたいと思うし、もっと言えば、他のチームの選手や若い選手がああいうプレーをするところをもっと見たいと思っています」
王者・栃木をけん引し、Bリーグを代表する存在でもある田臥の、勝利への強い思いが垣間見えるこの言葉は、今季のBリーグがさらなる熱い戦いになることを予感させた――。