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馬場、猪木、鶴田、藤波らを超えろ!
中邑真輔が近づく史上初のWWE王座。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGetty Images
posted2017/09/25 08:00
WWEのブタンでトップレスラーの一員となった中邑。ベルトを獲得すれば、日本人レスラー前人未到の快挙となる。
蝶野、ムタ、橋本、小川らもNWA王座を手にしたが。
'91年の藤波vs.フレアー後、NWA世界ヘビー級王座はWCW世界ヘビー級王座と改称されその名は封印されたが、'92年8月にWCWの提携団体だった新日本プロレスで行われた第2回の「G1クライマックス」がNWA世界ヘビー級王座決定トーナメントとして行われ、優勝した蝶野正洋が復活したNWAヘビー級世界王者に認定された。
さらに翌'93年の1.4東京ドーム大会で、蝶野を破ったグレート・ムタ(武藤敬司)も歴代王者に名を連ねたが、この時点において管轄団体のWCW最高峰のベルトは、あくまでWCW世界ヘビー級王座であり、復活したNWA世界ヘビー級王座は、提携先の新日本を中心に防衛戦が行われる、インターナショナルなセカンドブランド。かつて“世界最高峰”と呼ばれたNWA世界王座とは、すでに意味合いが違うものとなっていた。
その後、NWA王座はWCW管轄を離れインディー団体のベルトとなり、'99年に小川直也、2001年には橋本真也が腰に巻き、2014~'15年には小島聡や天山広吉も王者となっているが、まだ誰も本当の意味で世界を制してはいないのである。
2001年にWCWを買収後、WWEは文字どおり世界最高峰となったが、その看板タイトルである、WWE王座とWWEユニバーサル王座を獲得した日本人はまだ誰もいない。中邑真輔は、いまそこに王手をかけているのだ。
かつてプロレスは、ローカライズされたスポーツエンターテインメントだった。しかし、全世界ネット配信が当たり前となった現在、もはやそこに国境はない。
近い将来実現するであろう、中邑のWWE世界王座奪取は、中邑自身の快挙であると同時に、日本のプロレスが世界で通用する証明ともなる。
時代が変わる瞬間を、ぜひその目で見届けてほしい。