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青木宣親は今も「意外とフツー」。
生き残りこそが日常、という達観。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byAFLO

posted2017/09/15 08:00

青木宣親は今も「意外とフツー」。生き残りこそが日常、という達観。<Number Web> photograph by AFLO

移籍前から続く連続試合安打は12試合(9月11日時点)に。環境が変わっても安打を打つ能力は変わらない。

結局は、ひとつひとつ積み重ねるしかないという事実。

 青木は今季終了後、「年俸調停権を持った選手」として所属チーム、つまりメッツの契約オファーを待つことになる。それがなければ自動的にフリーエージェント(FA)となり、日米どの球団とも契約が可能になる。それがメジャーリーグなら、メッツと契約更新しても、FAで他球団と契約しても、今季年俸の550万ドル(1ドル110円なら6億円を超える)がひとつの目安になる。それを大きく下回れば、日本復帰の線も出てくるだろう。

「そんなこと考えて野球してないし」と青木は笑う。

「ふとした瞬間に思うことはあるかもしれないけど、結果を残さなきゃならないのはいつだって同じでしょ。結局はひとつひとつの積み重ねだと思いますよ」

 感情の起伏をあまり見せることなく、淡々と話す。典型的なノリ・アオキである。そんな彼でも落ち込んだり、イラついたりすることはあるのだが、最近はとくに平穏無事な感じで毎日を過ごしているように見える。ブルージェイズを自由契約になっても、メッツとの契約が決まっても、彼は「ん? どうしたの?」という感じだ。

WBCの話も、怪我の話も、過去についてはどこか他人事。

「なんでも受け入れようとしてるからかな」と彼は言った。

「それは今に限らず、のことだけど。最初に来た時も、こっちの文化を受け入れようとしていたし、ハナからこれは駄目だとかじゃなく、こういうもんだと思って。なんかある度にコウスケ(稲治昂介通訳)に聞いて、こっちはアメリカの感覚が分からないから、これはディスってんのかな? それとも冗談なのかなとか。練習方法ひとつ取ったってそうだったし」

 とりわけ2015年以降はアクシデントとイベント続きだ。死球による右足腓骨の骨折、脳震とうによる戦線離脱、マイナー降格、メジャー復帰、現役メジャーリーガーとして唯一のWBC日本代表参加、日米通算2000本安打、投手としての初登板、シーズン中のトレード、シーズン中の自由契約、そして、シーズン残り1カ月を切った時点でのメッツとの契約。

「話のネタは尽きないよね。相当いろんなことあるから。月ごとに1個ずつ何かあるんじゃないかな。まだ総括したくないけど、いろんなことがある。今年は激しく動いている」

 そういう話をする時もどこか、他人事である。起こったことは起こったこと。時間は待ってくれない。それならば今、この瞬間を楽しむだけ。そんな雰囲気だった。

【次ページ】 リップサービスをしない名監督の青木評は?

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