フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
休養のゴールドに引退のリプニツカヤ。
女子フィギュアスケーターの厳しい現実。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/09/14 08:00
2013年のグランプリシリーズ第2戦スケートカナダの女子シングル表彰台にて。優勝はリプニツカヤ、銀メダルは鈴木、銅メダルはゴールドだった。
才能はあったが本番では好不調の波がある選手。
これまでも、才能がありながら本番では好不調の波がある選手ではあった。だが昨年ほど苦しんでいるゴールドを、かつて見たことがない。
不調の原因は、2016年3月のボストン世界選手権でSPトップに立ちながら、フリーで失敗してメダルを逃した精神的なトラウマだ、と本人は語ったこともある。
だがそれだけではなく、その半年後の2016年10月のスケートアメリカでは、体重の調整で苦労していることを告白してもいる。
体重調整の苦労を率直に語ったゴールドだが……。
シカゴで開催されたそのスケートアメリカで総合5位に終わった後、ゴールドはこう口を開いたのだった。
「太りすぎのスケーターがほとんどいないのには、理由があります。昨シーズンも今年も、ずっとそのことで葛藤してきました。難易度の高い3回転を跳ぶのが大変になるんです。そのことを自覚してこれまで対処してきたけれど、この試合のようなレベルで戦えるような態勢が整っていないんです」
アメリカ人の女性ジャーナリストが慌てたように、「あなたは十分スリムに見えるけれど?」とフォローした。
実際、当時の彼女は、スケーターとして小柄なほうではなかったものの、特に体重に問題がありそうには見えなかった。
だがゴールドはこう答えた。
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいけれど、このスポーツにはもっとほっそりした体が必要で、今の私にはそれがないんです」