フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
休養のゴールドに引退のリプニツカヤ。
女子フィギュアスケーターの厳しい現実。
posted2017/09/14 08:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
9月1日、埼玉で開催されるジャパン・オープン(10月7日)に出場する予定だったアメリカのグレイシー・ゴールドが、大会を辞退することを発表した。
どの大会でも、直前になって選手が辞退、棄権するのはそれほど珍しいことではない。だが今回のゴールドの発表が特異に映ったのは、広報担当者を通じてわざわざ出されたプレスリリースの内容が、意味深だったからである。
ゴールドの発表した意味深なプレスリリース。
以下がその文章を訳したものだ。
「私のスケートとトレーニングに対する情熱は、以前と変わらず強いままです。でもこのところ、氷の上、そして氷の外で様々な葛藤に直面しており、グランプリシリーズの準備をする一方で、専門家の助けを借りて、しばらく休養をとることに決めました。この時間を使ってより人間として強くなり、それがスケートの演技にも反映するだろうと信じています」
ジャパン・オープンを辞退するためだったら、「まだ準備が出来ていない」で十分だっただろう。
この「専門家の助けを借りる」というのが、具体的にどのような意味なのか――スケートのことなのか、それ以外の私生活のことなのか。マネージメントに問い合わせたが「現在、これ以上発表できることはない」との返答が来ただけであった。
ゴールドのスランプの原因は?
現在22歳のゴールドは、ソチ五輪で個人戦総合4位になり、その才能と華やかな容姿で注目されてきた。
だが昨シーズンは、深刻なスランプに直面。GP2大会ともメダルに届かず、全米選手権で6位に終わった。
その直後に、ソチ五輪のシーズンから二人三脚でやってきたコーチのフランク・キャロルが突如として辞任を発表した。現在ゴールドは、デトロイトを拠点としてマリナ・ズエワの元にいる。