福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
サウジ戦現地分析と最終予選総括。
福西崇史が見た強化ポイントは?
posted2017/09/07 11:55
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Takuya Sugiyama
試合会場となったサウジアラビアのジッダですが、思った以上の歓迎ムードでした。ただ「ようこそ」と書いたつもりなんでしょうけど、全然意味が違う日本語になっていた(笑)。あと現地の人と会うと「一緒に写真、撮ってほしい!」と声をかけられたりもしましたね。
サウジの人々は温かく迎え入れてくれたんですが、この時期のジッダは高温多湿でサッカーをするには本当に厳しいコンディションなんです。僕もジュビロ時代にジッダでアル・イテハドと戦いました。その時もとにかく暑くて苦しんだ記憶があります。
今回もその気候は変わらず、トレーニングなどを見ていても「これはねっとりとした暑さだな」と感じていました。試合当日も風が全く吹かず、実況席で座っているだけでも全身から汗が吹き出してくるようなレベルでした。
酷暑とはいえ、ゲームプランが少し中途半端だった。
率直に言って、給水タイムがあったとはいえ、ピッチ上で走る選手にとっては過酷な環境でした。たぶん汗をかきすぎることで、スパイクまで重くなるほどだったんじゃないでしょうか。比較的涼しかったオーストラリア戦とサウジ戦を比べるのは、選手側の視点に立つと……難しいよなあ、とは感じます(苦笑)。
それにプラスしてW杯出場権をすでに手にしていた。この前提はあるけど、ゲームプランを立てていく、という点では少し中途半端だったかなと思います。
前半は両チームとも様子見で試合を進めていたんですけど、後半途中からガクッと運動量は落ちましたね。日本の中盤が間延びしてスペースが空き始めて、後半開始からサウジが投入してきたフハド・アルムワラドに自由に走り回られた。これによって日本は後手後手になって、結局彼に決勝点を奪われてしまった。
その中盤ですが長谷部の離脱によって、アンカーとインサイドハーフの並びがオーストラリア戦から変わりました。山口がアンカーに入って柴崎と井手口がコンビを組んだわけですけど、アンカーに下がったことで山口の良さが少し出なかったかな、と。