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3回戦で敗退したけど……人気爆発!
全米OPで世界を魅了した大坂なおみ。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2017/09/06 08:00
力感溢れ、恐れを知らぬアグレッシブなプレースタイルに、世界中のテニスファンが熱狂した!
ご両親が、とにかく彼女を温かく見守っている……。
そういえば、ウィンブルドンの1番コートに組まれたビーナスとの試合のときもファミリーボックスにやはり父はいなかった。その理由を尋ねると、娘とは比べ物にならない流暢な日本語で、「私はどこで見てるかわからないほうがいい。こんなことは、よくありますよ」と笑った。
ケルバー戦の前には、実は母親の環さんも来ていたのだという。
大坂は、「昨日こっちに来たらしいんだけど、私には秘密にしていて、試合のあとに初めて会ったの。すごくびっくりして、思わず泣いちゃった」と試合後に明かした。
それが、母によって目論まれた勝利のご褒美だったとしても、ビッグマッチの前に心を乱さない対策だったのだとしても、両親がどれほどやさしい思いで、プロアスリートにしては素直で繊細すぎる心を持った娘に接しているかがわかる。
メンタルの弱さを指摘されることが多く、まさに今取り組んでいるのもそこだというが、なんだか守ってあげたくなるような可愛らしさは、大坂のタレント性でもある。
力強くボールを引っ叩く力、うまくボレーをさばく技術、驚異的な運動能力を持った選手は、世界のそこかしこにいるだろう。でも、あらゆるものがアンバランスな大坂のおもしろさは本当に稀有で、才能がはじけたときのインパクトは凄まじいに違いない。そんな大坂を、多くのファンが見守っている。