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2017年のドラフト1位候補は4人!
清宮、中村、安田、田嶋は重複必至。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/09/02 11:30
甲子園を覆った打高投低の流れは、ドラフトでも続きそうだ。清宮、中村、安田の3スラッガーは1位指名確実と言える。
「谷繁以上」と言われる中村奨成は全球団が欲しいが。
夏の甲子園で大会記録となる6本塁打を放った中村は守りも天下一品で、甲子園で話を聞いた山田正雄・日本ハム前GM、苑田聡彦・広島スカウト統括部長、永山勝・ソフトバンクアマスカウトチーフ各氏は手放しで絶賛した。とくに苑田氏は谷繁元信(江の川)以来と言い、山田氏は「いやいや谷繁以上」と言い切った。捕手は現在、12球団が不足している。
大野奨太(日本ハム)、甲斐拓也(ソフトバンク)、田村龍弘(ロッテ)、炭谷銀仁朗(西武)、嶋基宏(楽天)、若月健矢(オリックス)、曾澤翼(広島)、小林誠司(巨人)、戸柱恭孝(DeNA)、梅野隆太郎(阪神)、中村悠平(ヤクルト)、杉山翔大(中日)という各球団の顔ぶれを見ればどこでも欲しがるのは当たり前で、とくに中日は喉から手が出るほどほしい。ソフトバンクと広島も甲斐、曾澤という好人材はいるが、それでも“十年の計”でチームを見ればほしいと思う。
打球の力強さが別格の安田、投手の1位は田嶋だけ?
安田は知名度では清宮、中村の陰に隠れるが、夏以降の充実度は凄まじい。私は運よく夏の大阪大会1回戦の常翔啓光学園戦と、U-18W杯へ向けた日大戦でのホームランを見ることができたが、打球の力強さだけ見れば清宮や中村を上回る。
とくに日大戦では最速149キロの剛腕、山本龍之介から木製バットで右中間に三塁打を放ち、このときの三塁到達が12.10秒という速さだった。私は俊足の基準を「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」に置いているので、俊足というほど速くはないが、「鈍足」というレベルではないことがわかる。第3打席ではこれも東都大学リーグで投げている植谷翔磨からライトフェンス越えのソロホームランを放っている。
三塁守備は「うまくない」という評価もあるが、強肩は間違いなく、フィールディングも言われるほど悪くはない。もう少し守備範囲が広ければいいな、くらいのレベルである。私には、同じ履正社出身のT-岡田(オリックス)とダブって見える。三塁手が不足しているオリックス、ロッテが食指を伸ばしてもおかしくない。
投手は田嶋が唯ひとり、入札候補ではないか。左腕のスリークォーターから150キロを超えるストレートとキレのいいスライダーを投げる即戦力候補で、投手不足の西武と、左腕の先発投手が今永昇太、石田健大、濵口遥大と揃うDeNAがダメ押しでさらに左腕を指名するのではないかと予想した。